日本旅行業協会(JATA)は、宿泊施設と旅行会社との間で行われている業務を一元化、プラットフォーム化する「観光産業共通プラットフォーム」を構築し、第1段階として「災害情報共有機能」の運用を7月20日から開始した。同機能は、災害時における正確な情報の集約、発信を可能とするもので、混乱の回避と風評被害の最小化、被災地の早期回復を実現できることから、特に宿泊施設側にとってメリットが大きい。宿泊施設は参画料が無料だ。
地震や津波など災害が発生するとさまざまな問題が起きていた。これまで宿泊施設は、取引のある複数の旅行会社から被害状況や宿泊客の安否を確認するための電話が頻繁にかかってきて、その都度、同じような内容の回答を返していた。電話回線も混雑。混乱している状況にもかかわらず、旅行会社への対応に追われ、本来やらなければならない業務に支障が起きるケースもあった。
今後、観光産業共通プラットフォームが旅行・宿泊業界に浸透すれば、宿泊施設は災害状況を同プラットフォームに入力するだけで、すべての旅行会社にその情報を伝えることができる。旅行会社は同プラットフォームから宿泊施設の災害状況などの情報を入手する。
災害情報共有機能の発報基準は、地震が「最大震度5以上」、津波が「大津波警報」「津波警報」、台風、大雨、雪害では「警戒レベル4」「同5」。業務フローを説明すると、発報基準を満たす災害が発生した際、同プラットフォーム事務局が宿泊施設に被害状況を聞くメールを、旅行会社には災害等発生を伝える連絡メールを発信。宿泊施設ではスマートフォンなどでメール本文中のURLをクリックして、質問に回答する。スマホ画面での具体的な回答方法は下の「全体図」の通りで、被害がない場合は最短2クリックで連絡が完了する。
この仕組みにより、正確で、最新の情報が旅行会社で共有可能に。従来は本社、本部、支店などの担当者ごとに宿泊施設に電話で確認を行っていたが、その必要がなくなる。
同プラットフォーム事務局では、回答のない宿泊事業者への登録依頼や情報が更新されない場合の確認などをスタッフが行い、最新の情報になるように対応していく。同プラットフォームの申し込みはJATAホームページ(https://www.jata-net.or.jp)から。