JATAツアーグランプリ2024表彰式 153作品から11作品が受賞


今回から国内・海外・訪日の3部門制に

 日本旅行業協会(JATA)は11日、国内旅行、海外旅行で優れた企画旅行(募集型、受注型)、訪日旅行で実施された企画提案の中から優れた作品を表彰する「ツアーグランプリ2024」の受賞者・作品を発表した。今回は、応募153作品の中から11作品が受賞した。

 ツアーグランプリは、旅行業における企画力とマーケティング力の向上、「観光立国」の施策に寄与することを目的に設立された表彰制度。「国内旅行部門」「海外旅行部門」「訪日旅行部門」の合計三つの部門で表彰を行い、それぞれに「観光庁長官賞」1点、「優秀賞」複数点、「審査員特別賞」複数点を用意する。最も優秀な取り組みに対しては、全応募の中から1点のみ「国土交通大臣賞」が贈呈され、今回は雨風太陽(東京都渋谷区)の「ポケマルおやこ地方留学」が受賞した。

 

国土交通大臣賞

雨風太陽 ポケマルおやこ地方留学


 今回、応募作品の中で最も高い評価の「国土交通大臣賞」には、個人向けの旅行・食品関連サービスを展開する雨風太陽の「ポケマルおやこ地方留学」が選出。同社では、全国8千人を超える農家・漁師が登録するオンラインマルシェを運営する会社としてのつながりを生かし、農山漁村へ親子で滞在できるツアーを企画した。生産者の説明を通じて食の大切さを学ぶとともに、コロナ禍で定着したリモートワークを組み合わせて親子で一緒に地方留学できる内容となっており、生産者との関係構築や関係人口創出型の新しい旅行スタイルが高く評価された。

 

観光庁長官賞

【海外旅行部門】JTB 日韓ミライ♡プロジェクト ソウル4日間


 同社が受賞した今回の作品は、若年層の海外渡航促進として企画。大阪観光局、韓国観光公社、JTB大阪教育事業部が連携し、学校や自治体が母体とならない募集型企画旅行として実現した。旅マエでは韓国についての勉強会やオンライン交流を、旅ナカではキャリア形成の動機付けを意識し、現地の学生と日本人留学生との交流・研修を、旅アトではツアー参加者と韓国料理を食べながらの事後報告会を実施するなど、一連の流れとして組み立てたことが評価された。

 

【国内旅行部門】JR東日本びゅうツーリズム&セールス ケージレス列車『わんだフルTRAIN』 ~愛犬と伊豆高原満喫の旅~


 ペットを連れての旅行需要が増加している近年、鉄道の車内ではペットは「手荷物扱い」とされてしまい、ケージレスでの乗車が困難となっていた。そこで同社は、専用列車で愛犬と気軽に鉄道旅を楽しめるツアーを企画。座席で一緒にくつろげるほか、同行する獣医師から愛犬の健康に関する講習を受けられるなど、愛犬家の心情を的確にとらえた新しい鉄道旅の需要創出につながる取り組みとして評価された。ツアーは非常に好評とのことで、今年6月には第2弾も催行した。

 

【訪日旅行部門】JTBグローバルマーケティング&トラベル 持続可能な観光実現に向けた「北陸レインボールート構築による新たな訪日人流創出


 北陸新幹線延伸で注目を集める地域を活用し、訪日外国人の分散化、ゴールデンルートの脱却を図るべく企画。自然や文化など、その地域特有の魅力を存分に体験できるプログラムを用意した点に加え、地域活性化への多大な貢献・旅行の高付加価値化の推進が期待される点も高評価につながった。東京―金沢―京都を巡る「マザールート」を起点に、地方を巡る「チャイルドルート」を充実させるというコンセプトは、今後も各地域での応用が期待されている。

 

優秀賞

【海外旅行部門】近畿日本ツーリスト ARIA聖地巡礼ネオ・ヴェネツィアツアー


 コロナ禍により中止となった再チャレンジツアー。大人気アニメシリーズ「ARIA」のファンから多数の要望を受け実現。4年にわたる関係各所との粘り強い交渉により実施に至った点や、アニメ制作スタッフが登壇した特別パーティーの開催、作品に関連した体験のオプショナルツアーなど、個人旅行や一般的なグループ旅行では難しい特別な体験を提供した点が評価。

 

【国内旅行部門】ジャルパック 赤ちゃんと行く沖縄の旅3日間


 同社は、赤ちゃん連れファミリーの不安を軽減するツアーを企画。機内で赤ちゃんが泣きだすことで、周囲の乗客に迷惑をかける不安を払拭し、機内後方に赤ちゃん連れの家族専用のまとまったスペースを用意。気兼ねなく空の旅を楽しめる環境を実現した。旅をちゅうちょしてしまう課題をうまく取り除き、新たな需要を創出する取り組みとして評価された。

 

【訪日旅行部門】日本旅行 シェフと旅する大自然グルメツアー


 訪日旅行の目的の上位に上がる「食」をテーマに、北海道の豊かな自然を満喫できるツアー。地産地消を推進し、北海道の大自然が育んだ豊かな食材の収穫体験、畑の中でのアウトドアランチ、和菓子作りをはじめとした日本食料理体験など、日本でしか体験できないプログラムを組み込んだ点が高く評価。今後は北海道以外のエリアでの水平展開も期待されている。

 

審査員特別賞

【海外旅行部門】近畿日本ツーリスト バリアフリー旅仲間・黄葉のデナリ国立公園とオーロラ観測でチェナ温泉リゾートに宿泊 するアラスカ・アメリカ9日間


 障害を持った人々のみを対象としたツアー。LINEなどで旅の仲間を募るという、通常とは異なる募集形態が大きく注目された。1年のうちわずか2週間しかないというアラスカの夏と冬の両方の魅力が楽しめる秋にツアーを設定した点や、ツアー内に組み込んだオーロラ観測を新月に合わせた点など、ツアーの組み立て方もしっかりしているとして評価された。

 

【海外旅行部門】三越伊勢丹ニッコウトラベル 三越創業350周年特別企画 アラン・デュカス監修メニュー ベルサイユ宮殿晩餐会の旅(計16+1コース)


 ベルサイユ宮殿を貸し切り、参加者だけの宮殿見学や、フランス料理の巨匠、アラン・デュカス氏監修の特別メニューを楽しめる晩餐(ばんさん)会を開催。デュカス氏本人の登壇などを組み込み特別感を演出。旅マエでは『ベルサイユのばら』の作者・池田理代子氏にも協力を仰ぎ、ターゲット世代への販売促進も実施。計18本のツアーを催行したことも評価された。

 

【国内旅行部門】エイチ・アイ・エス 手話通訳付き!羽田空港バリアフリー&JAL SKY MUSEUM・格納庫見学ツアー


 聴覚障害を持つ人々が飛行機で旅に出る際に必要な情報を手話でサポートし、旅への不安を解消。さらなる旅への意欲をかき立てることを意識した企画。各種ユニバーサル対応関係者の協力を得ながら、空港内のバリアフリー情報説明や格納庫見学などを実施。聴覚障害がある参加者へ旅の学びと楽しみを提供した。健常者との相互理解につながる実践的な活動も評価。

 

【訪日旅行部門】ティ・エ・エス 日本訪問が初めての方も、リピーターも楽しめる春の日本列島横断ツアー


 訪日外国人に人気の春の桜にスポットを当てた日本列島横断ツアー。日本が初めての人も、リピーターの人も楽しめるようツアーを造成。本州の桜開花時期が分散するのに合わせ、定番の観光スポットから最新の観光スポットまでバランスよく行程を組んだ点が高く評価された。今後さまざまな形の商品に派生することも期待されている。

 

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