JATA旅博に13万人、過去最高の来場者


にぎわう展示会の会場

にぎわう展示会の会場

 日本旅行業協会(JATA、菊間潤吾会長)が12〜15日に開催した国内、海外、訪日の旅行総合イベント「JATA旅博2013」は、業界関係者、一般来場者、マスコミなどを合わせた来場者数が13万1100人となり、過去最高人数を更新した。最も多かった昨年の12万6000人を4%上回る。「展示会は国内業者が増え、東北支援のためのブースも昨年より大きくなり、盛況だった」(古木康太郎・JATA博推進会議委員長)。

 今年の旅博は、旅の情報を提供する「展示会」、旅行業界の発展に向けて討議する「国際観光フォーラム」、国内外の業界関係者による「国際商談会」、企業・団体や旅行商品を表彰する「顕彰事業」で構成。13日の開会式で菊間会長は「旅の総合イベントとして旅博が充実した情報交換の場となり、JATA会員各社との協力を通じて新たな需要創出につながってほしい」と期待した。さらに「再び日本が世界の注目を集める20年のオリンピック開催に向けて旅博もさらに進化させたい」と意欲を示した。

 国際観光フォーラムでは13日、国連世界観光機関(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏と世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)CEOのデビッド・スコーシル氏、JATA副会長の田川博己氏(JTB社長)ら4人が「急成長するアジア旅行市場と日本の旅行産業」について語り合った。

 ITや苦情対策など職域の現場で役立つ最新情報を発信する業界日セミナーも13日に実施。JR東日本の高橋敦司営業部次長は「日本旅館と旅行業のあり方 新しい時代のWin‐Winの関係を目指して」と題して講演し、訪日外国人旅行客にとって分かりやすい日本旅館の「観光品質認証」の必要性などを訴えた。

 高橋氏は旅行業と日本旅館の関係について「かつては『送客する側』と『される側』としてウィン・ウィンのベストな関係にあった」と指摘。現在では、旅館を売るプレイヤーとしての旅行業の相対的な立場の低下により、旅館側には「脱旅行業」、旅行業側には「既存のビジネスモデルに対する固執」という誤解が散見されると述べた。

 その上で「検索機能には限界があり、ウェブは決して万能ではない。従来型旅行業はOTA(オンライン・トラベル・エージェント)が不可能な機能を備えている」と強調した。

 高橋氏はまた、「旅行業は自らのビジネスモデルを『旅館券販売』という認識から、『お客さまのこだわりに合わせたストーリーとしての旅行販売』『地域の魅力の販売』という意識に変革する必要がある」と説明。「商品の中心に日本旅館があり、有形、無形のサービスといった付加価値を添えて販売するのが旅行業」と解説した。

 日本旅館の観光品質認証については、国や業界団体ではなく、第三者の認証機関を設置し、格付けではなく、評価対象の基準を満たしているかどうかを客観的に判断し、認証を行うのが適当ではないかと提案した。

 具体的なイメージは、「外国人旅行客にとっても快適に過ごせ、くつろぐことのできる日本的な宿」を1つ星、「日本の伝統的な生活様式や文化を楽しみながら、総じて居心地がよく、安心して泊まれる宿」を2つ星、「この日本旅館に泊まることを旅行の目的にしたとしても、その期待感は十分達せられる宿」を3つ星、「洗練された質の高いサービスが受けられ、日本文化をより深く体験することができ、日本旅館の素晴らしさを満喫できる宿」を4つ星、「日本の伝統美をこころゆくまで堪能できる芸術的な建物や庭園を備え、日本旅館でしか味わえない最上級のもてなしを受けることができる宿」を5つ星とした。

 一般日14〜15日の展示会では、154の国・地域から730企業・団体が出展。なかでも国内の出展者数は年々増え、全体の3分の1を占めるまでになっている。

 会場では展示のほか、プロスキーヤー、登山家の三浦雄一郎氏や宇宙飛行士の毛利衛氏による講演会や旅行ツアーなどを販売する「旅博市場(いちば)」も展開。東北の名産・特産品を販売する東北復興支援企画「東北復興市」も開かれた。

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