国際会議やコンベンションの運営を手がける日本コンベンションサービス(JCS、近浪弘武社長)は、同業の世界大手、MCIグループ(本社スイス)と共同で新会社「MCI—JCSジャパン」を設立した。世界に営業拠点を持つMCIグループとの提携により、国際団体や海外企業が日本で行う会議、イベントなどを誘致し、運営業務の受注を拡大する。2009年1月から営業を始める。
新会社は今年6月に設立。資本金は1千万円で両社が50%ずつ出資した。新会社の社長にはJCSの近浪社長が就任。当面は社員2人を配置し、海外から国際会議やイベントなどの案件を受注する。受注した国際会議などの運営はJCSで請け負う。
JCSは新会社を通じて、MCIグループが持つ19カ国33都市の営業拠点から国際会議の情報などを収集できるようになる。MCIグループも、シンガポール、上海などに続いてアジアに新たな営業拠点を確保でき、世界規模で均一のサービス提供が可能になる。
国際会議の誘致では、MCIグループが、国際団体の本部運営を代行する「アソシエーション・マネージメント業務」を主力事業の1つにしていることから、顧客の国際団体が計画するイベントに効果的な働きかけができるとの期待もある。
新会社は、日本国内でもアソシエーション・マネジメント業務を事業の柱に育てる。国際団体が日本国内に支部を開設する際の支援、日本での会員を拡大するための業務支援などを行う。
今回の提携の背景には、国際団体やグローバル企業といった顧客が強く求める低コスト化のニーズに対応する狙いもある。世界規模のネットワークを構築することで、物資、人材、サービスの国際的な調達を効率化し、コストメリットを発揮していく。
近浪JCS社長は「MCIグループが企画、運営する国際会議などは国際団体だけで年間約1500件、国際団体の本部運営では約80団体をマネージメントしている。このネットワークを生かした国際会議の誘致で、観光立国の実現に寄与したい」と強調したほか、アソシエーション・マネジメント業務の展開について「日本初のビジネスモデルとして軌道に乗せたい」と意欲を示した。
MCIグループのロジェ・トンドゥル社長は「国際会議の開催地として日本はインフラやホスピタリティに優れているが、アジアの他の都市もインフラなどを整えており、競争はさらに激しくなる。マーケティング、プロモーションといった領域では、シンガポール、ドバイ、アブダビなどの都市はかなり先をいっている。新会社の設立は、日本の競争力向上にもつながる」と語った。
10月22日には、MCI—JCSジャパンの設立記念レセプションが、東京都千代田区のJCS本社で開かれた。MCIグループのトンドゥル社長、MCIアジアパシフィック社長のロビン・ロカマン社長が来日したほか、金子一義国土交通相、日本コングレス・コンベンション・ビューローの猪口邦子会長が駆けつけ、祝辞を述べた。
近浪社長
トンドゥル社長