日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)は、新年度を迎え、訪日プロモーション事業(ビジット・ジャパン事業)の執行機関としての活動を本格化させた。独立行政法人改革の閣議決定(2013年12月)などを受け、これまで観光庁が行っていた海外の企業などとの契約をJNTOが直接結べるようになり、迅速な意思決定の下でプロモーション事業を展開できるようになった。
海外での訪日プロモーション事業は、これまで観光庁が発注主体でJNTOは事業執行の監督という立場にとどめられていたが、独立行政法人改革のほか、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」などで事業の実施主体と位置づけられたことで、14年度補正予算の事業からJNTOが発注主体となった。
JNTOでは、事業の執行機関化の利点について、海外事務所での事業の企画と現地での発注が可能になり、市場動向の変化に迅速に対応できることを挙げる。これまで以上に外国人目線に立ったプロモーションを展開し、事業の効果を最大化していく。
JNTOは1日、事業執行の本格化を踏まえて、観光庁と共同で記者会見を開いた。JNTOの松山理事長と観光庁の山口裕視次長が出席した。
松山理事長は「PDCAサイクルにより効果的な事業実施を目指す。現地の海外事務所が培った旅行会社などとのネットワークを強みに、日本ブランドを売り込み、訪日旅行につなげていきたい」と述べた。
山口次長は「20年に向けて訪日外国人2千万人達成への期待が高まっており、JNTOには事業効果の最大化が求められている。事業の中核を担い、インバウンドをけん引してほしい」と期待した。
観光庁の15年度予算案では、JNTO運営交付金に65億4200万円を計上。これまでは管理費などを計上するだけだったが、事業予算が直接投入されたことで予算を大幅に増えている。
会見したJNTOの松山理事長(左)と観光庁の山口次長