日本政府観光局(JNTO、間宮忠敏理事長)はこのほど、中国の大手企業による1万人規模のインセンティブ(報奨)旅行の日本への誘致に成功した。間宮理事長や観光庁の溝畑宏長官らのトップセールスの成果もあり、韓国との競合を制したという。今年10月に2コースに分かれ、関東や関西を5泊6日で訪れる予定。JNTOでは、経済波及効果の合計は少なく見積もっても数億円規模と指摘している。
インセンティブ旅行を実施する「宝健(中国)日用品有限公司」(本社・北京)は、健康食品や美容品などの直販企業として急成長。社員数は約3千人、その他に代理店は中国全土に500社。訪日旅行には社員や代理店とその家族が参加する。
JNTO北京事務所では今年1月、北京市内で開かれた同社の全国代理店総会に出向き、訪日誘致に向けたプレゼンテーションを実施。さらに4月には間宮理事長、溝畑長官が同社の本社を訪問しトップセールスを行った。
同社のインセンティブ旅行は、10月9日に始まり、東京から大阪に向かうコースと、大阪から東京に向かうコースの二手に分かれる。関東、関西の観光地を訪問するほか、浜名湖、琵琶湖などで温泉も楽しむ予定だという。
企業が社員や取引先への報奨、研修などを目的に行うインセンティブ旅行は、MICE(国際会議、見本市など)に含まれる分野で、経済波及効果が高いとされる。JNTOでは「査証の緩和実施によりさらなる訪日者の増加が見込まれるが、なかでもMICE市場は急成長が見込まれる」と重視する。