JR東日本、東海、西日本、九州の上場4社はこのほど、2022年3月期通期決算(21年4月1日~22年3月31日)を発表した。コロナ禍の影響を受ける中、コスト削減や旅客外事業での収入拡大を図り、4社とも売り上げは増加。JR九州は黒字化、他3社は赤字額を圧縮した。23年3月期は4社とも通期黒字決算を見込む。
営収過去2番の低さ JR東日本
JR東日本の通期決算は、売上高が前期比12.1%増の1兆9789億6700万円、営業損失が1539億3800万円、経常損失が1795億100万円、純損失が949億4800万円に。コロナ禍からの減収の反動や、不動産事業での回転型ビジネスモデルによる売り上げで増収となるも、コロナ前の水準には戻らなかった。過去2番目に低い営業収益、運輸収入となり、2年連続の赤字決算となった。
運輸事業では、6月には「えきねっと」をリニューアル。「JRE POINT」との連携や割引切符の予約、購入への対応をするとともに、3月からは「Googleマップ」に、えきねっとへのリンクが表示されるサービスを始めた。7月からは車いす用フリースペースを設置した北陸新幹線E7系を導入した。
流通・サービス事業では、「KINOKUNIYA」の新店舗を5月に広島、11月に名古屋、今年3月に大阪で開業した。不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進。西武ホールディングスとの包括的連携の一環として、日本ホテルが「横浜・八景島シーパラダイス」「西武園ゆうえんち」の入園チケット付き宿泊プランを販売した。このほかSuicaの利用シーンの拡大、「MaaSプラットフォーム」の拡充などに取り組んだ。
23年3月期通期決算予想は、売上高が2兆4530億円、営業利益が1530億円、経常利益が980億円、当期純利益が600億円。
新幹線苦戦で赤字に JR東海
JR東海の通期決算は、売上高が前期比13.6%増の9351億3900万円、営業利益が17億800万円、経常損失が672億9900万円、純損失が519億2800万円。新しい旅行スタイルの提案など需要喚起、コスト削減を行うも、東海道新幹線の利用者がコロナ禍前の水準に戻らず、2年連続の赤字となった。
鉄道事業では、「ずらし旅」「推し旅アップデート」を提案するほか、3月には「のぞみ」号が運行開始30周年を迎え、各種記念キャンペーンを始めた。モバイル端末などを使用して仕事ができる「S Work車両」を導入するなど、車内や駅のビジネス環境の整備に取り組んだ。
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