JR4社決算、売上高は各社過去最高 訪日旅行拡大し観光需要増


 JR東日本、東海、西日本、九州の上場4社の2019年3月期連結決算(2018年4月1日~2019年3月31日)が出そろった。インバウンドの拡大など旅客収入が増加し、売上高は4社とも過去最高を記録した。

売上高初の3兆円突破 JR東日本

 JR東日本の2019年3月期連結決算は、売上高が前年比1.8%増の3兆20億4300万円、営業利益が同0.7%増の4848億6千万円、経常利益が同0.7%増の4432億6700万円、当期純利益が同2.2%増の2952億1600万円となった。18年7月には新たなグループ経営ビジョン「変革2027」を策定したほか、グループ理念も改訂。輸送サービスや生活サービス、IT、Suicaサービスを中心に施策を展開。運輸収入が増加するなど、売上高は7期連続で増加し、初めて3兆円を突破した。経常利益、当期純利益も過去最高となった。

 運輸事業では、交流人口の拡大を目的に「本物の出会い栃木」デスティネーションキャンペーン(DC)などを開催したほか、旺盛なインバウンド需要を取り込むため、アジア圏の航空会社と連携して航空機と組み合わせた立体観光型訪日旅行商品のラインアップを拡充した。流通・サービス事業では、8月には東京2020オリンピック・パラリンピックの今日が体験できる複合スポーツエンターテインメント施設「スポル品川大井町」(東京)を開業した。ホテル事業では、20年ごろまでに1万室を超えるホテルチェーンとなるための取り組みの一環として、今年2月に「JR東日本ホテルメッツ」を北海道札幌に東日本エリア外での初の施設として開業した。

20年3月期の連結業績予想は、売上高が3兆700億円、営業利益が4880億円、経常利益が4460億円、当期純利益が3010億円。

当期純利益が11%増 JR東海

 JR東海の2019年3月期連結決算は、売上高が同3.1%増の1兆8781億3700万円、営業利益が同7.2%増の7097億7500万円、経常利益が同8.4%増の6326億5300万円、当期純利益が同10.9%増の4387億1500万円となった。東海道・山陽新幹線でのネット予約、チケットレス乗車サービス「スマートEX」の登録者数が約226万人となるなど、観光、ビジネス利用が堅調に推移し、売上高、利益とも過去最高となった。

 営業施策では、「EXのぞみファミリー早特」をはじめとした新幹線、在来線の観光型商品などの販売促進に取り組んだ。流通業では、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」「タカシマヤ ゲートタワーモール」が連携して営業施策を展開し収益力を強化した。不動産業では、「東京一番街」の飲食店エリア内に「東京グルメゾン」、新富士駅に「アスティ新富士」を開業するなど競争力、販売力を強化した。旅行業では、京都、奈良、東京、飛騨、伊勢志摩などの各方面への観光キャンペーンなどと連動した旅行商品を販売した。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が1兆8910億円、営業利益が6760億円、経常利益が5990億円、当期純利益が4160億円。

豪雨など自然災害影響 JR西日本

 JR西日本の2019年3月期連結決算は、売上高が同1.9%増の1兆5293億800万円、営業利益が同2.9%増の1969億4600万円、経常利益が同3.1%増の1833億2300万円、当期純利益が同7.0%減の1027億5千万円となった。年末年始など多客期の利用が好調に推移したが、昨年7月の豪雨など自然災害が影響し、売上高、営業利益、経常利益が過去最高を記録するも当期純利益が減益となった。

 営業施策では、7月豪雨からの復興を目的とした「がんばろう!西日本」キャンペーンの実施など割引切符の設定や観光地のPRに取り組んだ。流通業では「ヴィアイン新大阪正面口」(大阪)、「ヴィアイン名古屋駅前椿町」(愛知)、「ヴィアイン飯田橋後楽園」(東京)を開業するなど宿泊特化型ホテルの展開を加速。不動産業では、昨年11月に岸辺駅北側に北大阪健康医療都市の中核となる複合施設として「VIERRA岸辺健都」を開業した。ホテル業ではブランド価値のさらなる向上を図るため、奈良ホテルの株式を追加取得し完全子会社化。旅行業では、訪日客への営業展開を強化するとともに、法人営業による受注拡大、ウェブ専用商品をはじめとする個人向け商品の販売拡大などに取り組んだ。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が1兆5575億円、営業利益が1980億円、経常利益が1845億円、当期純利益が1185億円。

連結子会社などで増収 JR九州

 JR九州の2019年3月期連結決算は、売上高が同6.5%増の4403億5800万円、営業利益が同0.1%減の638億8500万円、経常利益が同0.8%減の665億3900万円、当期純利益が同2.3%減の492億4千万円だった。キャタピラー九州を連結子会社化するなど売上高が過去最高となるも、減価償却費の増加により減益となった。

 運輸サービスグループでは、営業面で九州新幹線を中心とした鉄道利用促進施策として「九州新幹線2枚きっぷ」や新幹線定期券「新幹線エクセルパス」などの各種商品の販売促進、NHK大河ドラマ「西郷どん」に合わせた「答えは、鹿児島にある。」プロモーションを展開した。駅ビル・不動産グループでは、昨年3月に高架下商業施設「肥後よかモン市場」(熊本)での熊本駅のにぎわいづくりに取り組むなど、各駅ビルで駅前広場などを生かしたイベント展開を行い、収益を拡大した。ホテル業では、昨年12月に「JR九州ステーションホテル小倉」をリニューアルしたほか、既存ホテルのレベニューマネジメントを強化し、収益拡大に努めた。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が2204億円、営業利益が389億円、経常利益が437億円、当期純利益が362億円。

 
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