国鉄の分割・民営化で発足したJR東海の初代社長を務めた須田寛氏(すだ・ひろし)が12月13日、老衰のため死去した。93歳だった。葬儀は近親者で営んだ。お別れの会を開く予定だが、日取りなどは未定。
京都府出身。1954年京大卒業後、国鉄入社。84年にJR東海社長就任。アイデアマンで、フルムーン夫婦グリーンパスやシルバーシート、青春18きっぷなどを次々と実現。テレビCM「シンデレラ・エクスプレス」は大きな話題となった。
会長、相談役を経て、21年に顧問。日本観光協会(現日本観光振興協会)中部支部長、日商観光専門委員長など要職を歴任。
観光振興にも尽力。「産業観光」を提唱し、全国産業観光推進協議会会長として普及に努めた。
弊紙への特別寄稿や取材にも応じていただいた。11年1月15日付紙面ではJR東海相談役として登場。「テーマ別観光の展開を」「旅館は古い習慣是正」「旅行業は手数料商売脱却」「外客2500万人は第二の開幕」と持論を展開。
まさしく立て板に水。よどみなくすらすらと話し、「勝手に話すから、うまくまとめて」と飾らない笑顔で答えたのが印象的だった。
須田寛氏(観光経済新聞2010年、インタビューで撮影)