近畿日本ツーリスト(KNT)の2010年12月期(10年1〜12月)の連結決算は、経常損益が15億7100万円の黒字(前期は28億9100万円の赤字)だった。経常損益から税金や特別損益を差し引いた純損益も3億1400万円の黒字(前期は84億3300万円の赤字)で、4期ぶりの黒字に転換した。営業収益は予想値を下回ったものの、経常、純利益とも予想値を上回った。海外旅行を中心とした旅行売り上げの回復と併せ、年金制度改革の実施や諸経費の削減などが奏功した。
本業のもうけを示す営業収益は前期比1.2%増の635億4400万円(前期は627億8500万円)、営業損益は同16億3600万円の黒字(同33億3900万円の赤字)。昨年8月発表の業績予想値に比べ、営業収益は5.2%、34億5600万円下ぶれしたものの、営業利益は16.9%、2億3600万円、経常利益は4.8%、7100万円、純利益は57.3%、1億1400万円上回った。
平年度約20億円の費用削減効果が見込める年金制度改革や、個人旅行事業分野での不採算店舗71店舗の閉鎖などの各施策の実施のほか、営業費用を前期比6.4%、42億1600万円圧縮したことなども黒字化につながった。店頭販売部門であるKNTツーリストが8億円の増益、黒字化したのも奏功した。
個別業績は経常損益が12億1100万円の黒字(前期は12億800万円の赤字)、純損益が3億5700万円の黒字(同78億5500万円の赤字)、営業収益が前期比0.9%減の511億3300万円、営業損益が12億9700万円の黒字(同18億6700万円の赤字)。
個別業績のうち旅行分野の売上高は、3734億8200万円。内訳は、国内旅行が売上高2163億2500万円(前期比8.5%減)、営業収益325億4900万円(同7.4%減)、海外旅行が売上高1430億3400万円(同14.7%増)、営業収益154億3400万円(同13.0%増)、国際旅行が売上高83億3700万円(同36.5%増)、営業収益11億8900万円(同11.0%増)、その他が売上高57億8500万円(同12.2%増)、営業収益19億6千万円(同12.6%増)。
11年は遠忌法要などの参拝旅行の取り扱いやスポーツを通じた地域振興事業に取り組むほか、個人旅行事業でのマーケティング機能の強化とインターネット販売の拡大を推進。併せて、固定費用の圧縮を進める。12月期の連結業績は、経常損益が前期比65.5%増、26億円の黒字、純損益が同599.4%増、22億円の黒字、営業収益が同2.8%増の653億円、営業損益が同46.7%増、24億円の黒字を見込む。
個別業績予想は、経常損益が同89.9%増の23億円の黒字、純損益が同459.8%増の20億円の黒字、営業収益が同6.2%増の543億円、営業損益が同54.2%増の20億円。
個別業績のうち旅行分野の売上高の予想値は、3860億円。内訳は、国内旅行が同2.3%増の2213億円、海外旅行が同3.5%増の1481億円、国際旅行が同22.3%増の102億円、その他が同10.6%増の64億円。