近畿日本ツーリスト(KNT)はこのほど中期経営計画を見直し、17日にその内容を発表した。東日本大震災の発生による外部環境の変化と、昨年8月に発表の「事業構造改革の基本方針」に基づく今年1月の同社グループと本社の各体制の再構築を踏まえてのもの。箇所ごとの「自立経営」と「連携強化」の両立により安定した収益基盤を確立し、2014年度の連結業績で、営業収益665億円、営業利益38億円、経常利益37億円、純利益30億円の達成を目指す。
同社は10年8月に発表した「中期経営計画の見直し」で、13年度までの財務目標を設定=別表参照。13年度の営業収益を643億円、営業利益を54億円、経常利益を55億円、純利益を53億円、個別業績の売上高を3800億円としており、今回の見直しでは営業収益は7億円上方修正する一方で、営業利益その他については縮小する計画とした。
同社は1月から、東京、名古屋、大阪地区の旅行事業への集中化と、団体旅行、個人旅行部門の2大部門への再編、北海道、東北、中国四国、九州での各地域会社による地域密着営業体制の構築などにより、地域や事業の特性に応じた営業の展開と、営業力強化、効率化などを進めている。
発表の中期経営計画では、重点施策を「団体旅行」「個人旅行」「中国・アジアでの事業拡大」の3事業ごとに示した。
団体旅行分野では、組織再編での情報やノウハウの共有による営業力の強化のほか、主に大都市での法人・団体への提案型営業の拡大、教育旅行分野でのスポーツ・文化イベント関連旅行の需要開拓、スポーツを切り口とした地域振興・コンサルティング業務の取り組み強化を進める。
個人旅行分野では組織再編により「商品造成と販売」「店舗販売とウェブ販売」の一体運営を強化。新たな会員組織による新規顧客の獲得とリピート率の向上、ウェブ専用商品の充実によるウェブ販売の拡大、強化、収益性の低い店舗の撤退とコンサル機能充実による高収益商品の販売などに力を入れる。
中国・アジア事業については、現地提携先との商品開発で現地発海外個人旅行の需要獲得や、既存・新規拠点の強化、設置によるネットワークの充実を図っていく考えだ。