クルミ科のナッツで主に北米で生産されている「ピーカンナッツ」を用いた「ピーカンナッツチョコレートシリーズ」などを提供しているサロンドロワイヤル(大阪市)は岩手県陸前高田市の農業創生と、復興支援を行う「ピーカンナッツプロジェクト」を推進している。このプロジェクトは、陸前高田市と、東京大学(生産技術研究所、大学院農学生命科学研究科)の3者が協働し、KNT―CTホールディングスの近畿日本ツーリスト商事(KNT商事)が支援している。
プロジェクトは2017年に開始され、26年までの10年間行い、ピーカンナッツの国内での生産および流通拡大を目指す。KNT商事が支援を決めた理由を、EC事業部長の澤嘉昭氏はこう話す。「11年の津波の被害から、震災以降に建設される店舗などはかさ上げ地に立地しているが、かさ上げされていない場所は震災時点から何ら変わらない広大な空き地状態である。当社では、このプロジェクトを通じて、陸前高田の復興を目指し、新たな農業を創出するお手伝いをするとともに、オリジナル商品の流通を増やすことで、雇用の創出、拡大に貢献できると考えた」。
サロンドロワイヤルは昨年、市内の耕作放棄地にピーカン70本を植樹したほか、若手農業者に苗木を提供。26年もしくは27年から収穫が開始される予定だ。併せて、同社ではピーカンナッツ産業振興施設を開設。この施設では、米国から輸入された殻付きピーカンの殻むき作業を行う。今までは殻をむかれたものしか輸入されていなかった。施設従業員は20人だが、すべて地元採用者となっている。
ピーカンナッツは栄養価が高く食感の良いナッツ。アンチエイジング効果もあるとされ米国では広く普及している。
KNT商事では10年以上前からピーカンナッツの取り扱いを開始。チェーンの宿泊施設、ゴルフ場の売店などで売られ、昨年の販売数は約100万箱だった。
この6月からは日本郵便との連携が開始された。ピーカンナッツを用いたチョコとおかきが岩手県や宮城県、東京都などの約700の郵便局で販売されている。
陸前高田の耕作放棄地
宿泊施設販売商品