近畿日本ツーリスト(KNT)は9日開いた取締役会で、訪日旅行部の新設と、中国・アジア方面からの訪日旅行を取り扱う受け入れ専門会社の設立を決めた。訪日旅行事業にかかわる戦略部門の強化と、訪日客受け入れ事業の機動性向上などを図ることにより、今後も増大が見込まれる中国人訪日旅行者の取り扱い拡大につなげたい考えだ。
KNTの訪日旅行事業は、欧米方面からの取り扱いが7割を占める。拡大する中国人の訪日旅行市場への取り組みが不十分だとして、組織改正と新会社設立による体制強化を決めた。
新設する訪日旅行部は、国内旅行部、海外旅行部と並立する形で設置。訪日旅行にかかわる方針の策定や計画の立案などを行うほか、観光庁などの重要取引先、関係協力機関との対応、折衝窓口としての役割を担う。また各部、カンパニー、事業部などが扱っている訪日旅行案件の調整なども行う。
さらに中国、アジア方面からの団体、個人旅行を扱う受け入れ会社として、今年12月にKNT100%子会社のKNTASIAを設立する。訪日団体旅行の仕入れ、造成、販売のほか、個人旅行商品の造成支援と手配、宿泊券の販売などの事業を展開させる。「新会社を設立することで、機動性向上と競争力の強化が図れる」とブランド戦略室。
本社は東京都内を予定し、資本金、資本準備金は各1億円。設立時16人程度の規模を予定する。営業開始は来年2月を予定し、2012年9月末までの取り扱い目標は1年間で11億円、9万4千人を掲げる。
このほか中国に設置のKNT子会社、近畿国際旅行社(中国・北京)の業容を拡大。拡大が見込まれる個人旅行需要に対応するために、個人旅行企画チームを設置し、独自商品の企画や販売チャネルの拡大などを進める。中国市場の需要獲得に重要となってくる中国国内の提携旅行社への営業体制も強化し、現在7人の営業人員を2012年時点で11人まで増員する。近畿国際旅行社全体でも2012年には現在33人の社員を20人程度増員し、体制強化を図る。
一連の体制変更に伴い、海外旅行部中国事業開発部は12月末で廃止する。国際旅行事業本部カンパニーは現行通り欧米市場中心に営業活動を展開していくという。
同社は昨年11月に国際旅行事業本部カンパニー内にグループ内の中国を含むアジア方面からの訪日旅行関連部署を集約した中国・アジアセンターを設立したほか今年4月に近畿国際旅行社の上海支店を設立するなど、中国市場の取り込みに向けた動きを活発化させている。