KNTの伊藤淑雄専務・経営改革室副室長(経営企画部(プラットフォーム戦略・グループ戦略)・特命事項担当)は6日、東京都のKNT本社で記者会見を開き、来年1月1日付けで行う事業再編について話した。
ツーリストサービス(TS)との店頭販売部門の統合では、店舗数270店舗程度を想定。今後も年10店舗程度ずつ増やす。3日に発表したイオンクレジットサービスとの提携と絡め「イオンのネットワークを生かした店舗展開も想定している」(伊藤常務)。東京地区の店舗層が薄いという問題も随時解消する。
本社の営業推進室は廃止。本社機能に組み入れた仕入部門とメイト・ホリデイの商品企画部門を基に、国内旅行部、海外旅行部を置く。「連携部署として10人以下の『創発事業本部』の設置も検討している」(伊藤常務)が、両部の事業連携の必要性については慎重な構えを見せた。
国内旅行部が置く25カ所の仕入れ拠点は、旅連の支部連合会を中心に設置する。将来的には全各都道府県に社員を2人ずつ駐在させるような形での拠点整備も視野に入れる。また全国の主要な地点にセンターなどを設け、地域発信型、着地型商品の造成拠点にする。
TSから切り離した商事事業はKNT本社の国内旅行部へ置く。黒字であるTSの商事事業の営業力をさらに強め、本社直轄の収益事業とする構えだ。
経営企画や人事などの本社管理部門は規模を縮小するが、戦略部門と位置づけ経営戦略立案とインフラ整備に絞り込む。特に推進するプラットフォーム戦略は、新たに事業開発の機能を付ける。24カ月限定の社内外ベンチャーの設立なども想定。業界内にとらわれない事業提携や新規事業領域への拡大につなげ、「夢の業態」(伊藤専務)を作る基礎づくりを図る。
同社では今回の再編に伴い、14億円程度のコスト削減を見込む。「人員整理はない」(伊藤常務)。またJTBのような分社化について伊藤常務は「現在、検討していない」と話した。
販売専門会社の名称は「10月をめどに決める」(同社広報)。組織などについては決定次第、随時発表していくという。
伊藤常務