近畿日本ツーリスト(KNT)首都圏横浜支店は8日、神奈川県内で実施する新型コロナウイルス対応ツアーの実証実験として「MICEかながわモデルモニターツアー」を実施した。ツアーでは小田原、箱根地区の観光地、宿泊施設などを訪れ、コロナ対策の環境の確認、対応の検討などを行った。県内、県外企業にコロナ禍でMICE対応の現状を伝え、企業法人、組織団体の需要創出につなげる。
ツアーには行政やKNT首都圏の社員、県内の受け入れ施設であるKNT―CTパートナーズ会神奈川支部情報連絡委員ら約50人が出席。県内の主要観光である小田原城で観光地の入場管理の確認、食事会場として大人数の受け入れが可能な小田原鈴廣で食事環境の確認、宿泊施設での会議、宴会形態の確認として箱根湯本温泉の湯本富士屋ホテルを視察した。
ツアーでは、新百合ヶ丘総合病院(神奈川県川崎市)の高木虎太郎氏が「新型コロナウイルスにおける旅行上の注意点」をテーマに講演。観光中での衛生管理、ソーシャルディスタンスなど防疫対策を紹介した。
また、意見交換会では検討事項として(1)集合場所での密回避(広い場所を確保することが難しい)(2)バスの乗降時や施設の受け付け、入場時の列間隔の確保(手続き、移動に時間を要する)(3)宴会や食事時の客席の間隔(横並びやできる限り間隔を空けての配席。隣の人との距離が離れる)(4)宿泊施設でのチェックインやエレベーター待機中の密回避(広いスペース確保と手続き、移動に要する)―などが挙がった。
ツアーに参加した神奈川県国際観光課の山品加奈子氏は「コロナ禍の観光について、新しい生活様式を実践する中で何ができるかを考える機会となった。生の声を聞きながら観光振興施策、各種取り組みを進めていきたい」と話した。
同社の下河浩横浜支店長は「多くの事業者に波及効果があるMICE(団体旅行、会議、展示会)は3密リスクを嫌い再開のめどが立っていない。課題と改善策を共有し、『安心、安全なMICE、団体旅行』を情報発信しながら受け入れ態勢を整えていく」と総括した。
1メートルの間隔を空けて宴会を開催(湯本富士屋ホテルで)