国の誘致姿勢を再発信 ハイブリッド化対応も
観光庁は15日、コロナ禍で中止・延期、オンライン化などの影響を受けている国際会議、インセンティブ旅行(報奨旅行)などMICEの安全な再開に向けた取り組みの方向性について、有識者や関係省庁で議論した結果を公表した。日本が誘致に積極的であることを国内外に改めて発信する必要性を指摘。増加が見込まれる対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形態の国際会議への対応も重視した。環境変化を踏まえ、新たな目標やマーケティング戦略の策定も提言した。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、世界各地で多くのMICEが中止・延期、オンラインやハイブリッドによる開催に代替されたが、ワクチン接種の進展などで、MICEにも動きが見られ、対面式の国際会議の事例も出てきた。観光庁では日本が誘致・開催競争に後れをとらないよう、昨年12月に「安全なMICEの再開と発展に向けた関係者協議会」を設置し、有識者、関係省庁で対応を議論した。
協議会の議論を踏まえて取りまとめられた主な取り組みの方向性を紹介する。
◆発信とアクション
日本の外国人入国に関しては、観光目的の入国は依然認められていないが、水際措置の緩和に合わせて、国や地域、産業界がMICE再開への姿勢を内外に発信する必要がある。日本政府観光局(JNTO)が、水際措置の情報をはじめ、ワクチン接種率や感染症対策などの安全・安心に関する情報を海外に発信。地域や産業界、国内の会議主催者にも情報発信の強化を期待する。
国は、感染症対策を講じたハイブリッド形態の国際会議の実証事業を実施し、その成果を周知する。MICE関係業界は、MICEの安全性に関わる情報に加え、対面で参加者が交流することの意義についても発信し、日本での開催に向けた機運醸成に取り組む。
インセンティブ旅行は、入国制限さえ緩和されれば、オンライン化などの影響は受けにくいため、地域やJNTOは、観光客の回復を見据えつつ、積極的な誘致に取り組む。誘致に際しては国が支援し、JNTOがマーケティングに取り組む。
MICEの推進に関して国の目標としては、「アジア主要国における国際会議の開催件数に日本が占める割合について、アジア最大の開催国(3割以上)の地位を確保する」を掲げることを提案した。指標としては、国際会議の参加人数、訪日ビジネス客数、MICE関係訪日外国人の消費額を把握する。
◆ハイブリッド対応
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