今年、開館20周年を迎えた横浜美術館(神奈川県横浜市)は、その記念展示として現代美術家である「束芋(たばいも)」展を開催した(同展は3月3日で終了)。主にアニメーションを使った束芋の作品は、多くの国際展で紹介されており、東京の原美術館やパリのカルテイエ現代美術館では個展も開かれた。特に海外からの評価が高いという。今回の展示は、朝日新聞で連載された小説「悪人」の挿絵原画50枚と現代美術の表現方法の一つとされる「映像インスタレーション」5作品を紹介した。
映像インスタレーションは、天井と地面、円筒を半分にした内側、といった立体的な空間に、プロジェクターとモニター数台を使いアニメーションを映し出すもの。この映像を投影する機材には、NECディスプレイソリューションズのプロジェクター「ビューライト」と24型の液晶ディスプレイ「マルチシンク」が使われた。
採用されたプロジェクターは、高輝度を実現しながらも同社従来機種に比べ色再現性を高めたモデルと、上下左右で最大4台まで並べて、それぞれの画面を重ね合わせた投写が可能なモデルの2つ。液晶ディスプレイは、デジタルサイネージ(電子掲示板)用に開発されたハイコストパフォーマンスモデルだ。
同館では、束芋展開催に合わせて、NEC製プロジェクター17台と液晶ディスプレイ6台を導入。同館の学芸員、木村絵理子さんは、「黒がしっかりと映える製品として一番良かった。また、束芋から(NEC製を使いたいという)強い要望があった」とNEC製を選んだ理由を話す。
この束芋展は、7月から大坂の国立国際美術館に場所を変えて再度、開催。同美術館でも、NEC製のプロジェクターとモニターが使用される。
この件についての問い合わせ先は、NECディスプレイソリューションズ・国内市場開拓部(TEL03・5446・5420)。
束芋『団断』の横浜美術館での展示風景 2009年映像インスタレーション
(c)Ufer!ArtDocumentary/CourtesyoftheartistandGalleryKoyanagi