09年のNHK大河ドラマ「天地人」の主人公、直江兼続。直江公が一時治めた米沢市や合戦を行った山形市など、ゆかりあるスポットが多い山形県では現在、関連する観光資源の掘り起こしが進む。同時に多くの観光ボランティアガイドが、直江公にまつわるエピソードを観光客に知ってもらおうと奮闘している。
日本観光協会によると、同県には観光ボランティアガイドの団体が約80団体あり、定年退職した人を中心に1800人ほどが活動している。任意申請での数だが、団体数では全国1位、人数でも全国3位を誇る。「他県と比べ、活動は活発」(県物産観光協会)。
関ヶ原の戦いと同時に山形市で繰り広げられた「長谷堂(はせどう)合戦」。石田三成側大名の上杉景勝の家老、直江兼続と徳川家康側大名の最上義光(よしあき)が戦った。合戦の背景などに詳しい山形市観光ボランティアガイド協会の佐藤篤会長は「直江公が注目を浴びるが、今の市の原型を作った義光公の方が市民には親しみ深い。市民はドラマで誰が義光公を演じるのかに注目している」とガイドに交えて地元ならではの話を語る。
米沢市で隠れたスポットを紹介するのもボランティアガイド。「上杉鷹山の政治の土台となる石堤などを整備したのは直江公」と語り、ひっそりと残る「直江堤」を案内するのは米沢市「おしょうしなガイドの会」の登坂精一さん。自ら作ったメモを配り、時折冗談を交えながら、上杉家の御廟所や直江公の墓所などを案内する。
「愛」の文字で飾った直江公の兜など、同県には直江公にまつわる事物が多く、案内板や観光ルートの整備などが進むが、観光客が歴史上のエピソードなどを深く知るには不十分な面も多い。大河ドラマを契機にした誘客には今後、地域に根ざした案内人たちのさらなる活躍が求められそうだ。
観光ボランティアガイドに関する問い合わせは、県観光ボランティアガイド連絡協議会(電話023-647-2333)。
合戦について説明する佐藤さん