NTTデータ経営研究所、「観光、スポーツ・エンタメ産業の D2Cマーケティングに関する調査レポート」公開


 NTTデータ経営研究所は7月11日、「観光、スポーツ・エンタメ産業の D2Cマーケティングに関する調査レポート」を公開した。

株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下 当社)は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が提供するインターネット調査サービス「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、観光、スポーツ・エンターテインメント分野における消費活動に関する意識調査(以下 本調査)を実施し、「観光、スポーツ・エンタメ産業のD2Cマーケティングに関する調査」(以下 本レポート)として公開しました。

【主なポイント】

1. 観光客のうち3割以上、スポーツ観戦・ライブ客のうち4割以上が観光地やチーム、アーティスト等から直接の情報収集・購買活動を行っており、両者ともに半数近くが月1回以上のダイレクトメッセージを許容しています。D2Cマーケティングの対象となる「潜在層」が一定数存在することが明らかとなりました。

2. 観光客やスポーツ観戦・ライブ客のうち、お気に入りの観光地・旅行先やチーム・アーティストがあり、かつ高頻度・高消費のいわゆる「ロイヤル顧客層」はそれぞれで約1割程度存在し、D2Cマーケティングのターゲットとして非常に有望であることが推察されます。

3. ロイヤル顧客層の割合は20代~30代が高く、それらの世代が今後コンテンツ消費の中心となることを鑑みると、オンラインを活用したD2Cマーケティングの可能性が高まることが期待されます。

【調査概要】

調査期間  :2023年8月18日~2023年8月22日

調査方法  :非公開型インターネットアンケート

(NTTコム リサーチ クローズド調査)

調査対象  :日本国内に居住する18~79歳の男女

調査機関  :株式会社NTTデータ経営研究所

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

有効回答者数:1,068人

調査結果(調査レポート)

https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/240711

【背景】

デジタル技術の革新と実装が進む中、企業や事業者が流通経路を介さず、ECサイトや実店舗、SNSなどにより直接ユーザーとつながり、集客やエンゲージメント向上を試みるD2C(Direct to Consumer)マーケティングの重要性が高まっています。

そのような社会全体の流れの中、観光産業やスポーツ・エンターテインメント産業においては、従来のAIDMAアプローチ[1]のマーケティングが中心となっており、SIPSのアプローチ[2]へ対応ができていないことから、D2Cマーケティングが機能せず、機会損失をしている状況と推察されます。(図1)

当社では、このような背景を踏まえ、国内に居住する18歳から79歳の男女を対象に、日頃のレジャー全般における状況や観光・旅行およびスポーツ・ライブ観戦における状況(頻度・消費金額・情報収集など)について調査を行いました。

[1] AIDMAアプローチ:消費者の購買決定プロセスを表すマーケティングモデル

[2] SIPSアプローチ :ソーシャルメディアの浸透に伴う消費者の行動プロセスを表すマーケティングモデル

図1. AIDMAアプローチからSIPSアプローチへの変化

【調査結果について】

本調査では、全体の約8割が「1年間に1回以上観光や旅行をする」と回答、また約4割が「1年間に1回以上スポーツの試合やアーティストのライブへ参加する」と回答し、観光、レジャー・エンタメを楽しむ人が多数であることが明らかとなりました。本レポートは、それぞれを「観光客」「スポーツ観戦・ライブ客」と定義し結果をまとめます。なお、それぞれの数値には「直近2年は自粛したが、それ以前は出かけていた」と回答した人数を含みます。

【調査結果ハイライト】

1. 観光客のうち3割以上、スポーツ観戦・ライブ客のうち4割以上が観光地やチーム、アーティスト等から直接の情報収集・購買活動を行っており、両者ともに半数近くが月1回以上のダイレクトメッセージ(以下 DM)を許容しています。D2Cマーケティングの対象となる「潜在層」が一定数存在することが明らかとなりました。

観光客、スポーツ観戦・ライブ客それぞれにおいて、情報収集(検討方法)やチケットの購入方法について調査を行ったところ、観光客のうち3人に1人となる34.2%が「お気に入りの観光地や宿泊施設があり、施設の空き状況等を直接確認する」と回答しました。また、スポーツ観戦・ライブ客では44.6%がチームやアーティストのホームページから直接チケットを購入すると回答し、D2Cのニーズが一定数あることが明らかとなりました。(図2)

図2. 旅行先の検討方法/スポーツ・ライブのチケット購入方法

本調査における全回答者に対し、お気に入りの観光地、チーム・アーティストからDMなどを介して定期的に直接情報が欲しいと回答した人は、観光分野では半数以上となる53.6%、スポーツ・エンタメ分野では39.1%いることから、D2Cマーケティングのターゲットになり得る「潜在層」が一定数いることが明らかとなりました。(図3)

図3. お気に入りの観光地/チーム・アーティストから直接情報が届く際の希望頻度

2. 観光客やスポーツ観戦・ライブ客のうち、お気に入りの観光地・旅行先やチーム・アーティストがあり、かつ高頻度・高消費のいわゆる「ロイヤル顧客層」はそれぞれで約1割程度存在し、D2Cマーケティングのターゲットとして非常に有望であることが推察されます。

お気に入りの観光地・旅行先の有無や観光・旅行の頻度および消費金額に関する調査結果をクロス分析したところ、観光客のうち10.4%がロイヤル顧客層[3]であることが明らかとなりました。また、スポーツ観戦・ライブ客においても同様の観点で分析したところ8.8%でした。

さらに、ロイヤル顧客層の傾向を分析したところ、他の層と比べてお気に入りの旅行先などの情報を直接調べたり、定期的な情報提供を好む傾向であることから、D2Cマーケティングのターゲットとして有望な層であることが推察されます。(図4)

[3] ロイヤル顧客層:企業・団体等に愛着を持ち、商品・サービスを長期的に利用してくれる顧客で、高い頻度で商品・サービスを利用し、高い消費金額が期待できる顧客層のこと

図4. 観光客/スポーツ観戦・ライブ客のロイヤリティ

3. ロイヤル顧客層の割合は20代~30代が高く、それらの世代が今後コンテンツ消費の中心となることを鑑みると、オンラインを活用したD2Cマーケティングの可能性が高まることが期待されます。

ロイヤル顧客層を年代別で分析したところ、観光客のうちロイヤル顧客層の割合は20代が26.8%、30代が14.2%、スポーツ観戦・ライブ客のうちロイヤル顧客層の割合は20代が40.0%、30代が13.2%と、若い年代ほど割合が高い結果となりました。(図5)

図5. 年代別の観光客/スポーツ観戦・ライブ客のロイヤリティ

また、20代~30代のロイヤル顧客層は他年代と比較して、デジタル媒体の接触時間が長くSNSの利用状況が活発であることも明らかとなりました(図6)。20代~30代が活用する情報源はWeb検索に加えてSNSが多く、とくに、XやInstagramの利用率が高いことが特徴でした。

デジタル媒体による情報収集や購買行動を好む20代~30代のロイヤル顧客層が、今後のコンテンツ消費における中心となることを鑑みると、SNSをはじめとするオンライン媒体を活用したD2Cマーケティングの可能性が一層高まることが期待されます。

図6. ロイヤリティ別のデジタル接触時間

【結論】

本調査では、観光やスポーツ・エンタメ分野において、地域、スポーツチーム、アーティスト等のコンテンツホルダーから直接情報収集や購買行動を希望する「潜在層」が一定数存在しており、特に20代~30代のロイヤル顧客層にD2Cニーズがあることが明らかとなりました。

近年のEC市場拡大やスマートフォン・SNSの普及により、D2C市場は拡大傾向にあると予想されます[4]。そのような中で、観光やスポーツ・エンタメ分野においては、デジタル技術を介した顧客との接点の創出が重要度を増しており、D2Cマーケティング戦略の肝となります。観光・スポーツ・エンタメ分野のD2Cマーケティング戦略の立案においては、ECサイトやホームページ・SNSでの情報発信やDMなどのオンラインマーケティングが、ロイヤル顧客層拡大の有効な施策となり、それがD2C市場の拡大に繋がると考えられます。

当社では、観光、スポーツ・エンタメ産業に関わる事業者の皆様に対してデータ駆動型ビジネスへの変革を支援するコンサルティングサービス提供を通じて、観光、スポーツ・エンタメ産業の拡大に寄与していきます。

[4] 出典:「売れるネット広告社」( https://www.atpress.ne.jp/news/225508 )

 
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