HACCP義務化に、IoTセンサー
31種の湯殿を楽しめるホテルまほろば
東洋一のスケールと、地獄谷に代表される野性的な景観を誇る湯けむりの里、登別温泉。山間の豊かな緑に抱かれるように、ホテルまほろば(398室)がある。
客室は、源泉露天風呂付きスイートルーム「槐(えんじゅ)」「檪(くぬぎ)」をはじめとし、和室、洋室、和洋室が用意され、さまざまな顧客のニーズに対応。
温泉は、「硫黄泉」「食塩泉」「単純硫黄泉」「酸性鉄泉」の4種の温泉があり、地下1階から地下2階の31の湯船を巡りながら楽しむことができる。
食事は、旬の食材を使用した洋食、和食、中華の大皿料理が楽しめる「リバティ」、子供の目線の高さに料理を配置、小鉢に取り分けるなどの配慮がされた「GREEN TERRACE」という二つの特徴ある会場でのバイキング料理のほか、旬の食材を使った会席料理、9~200人に対応した宴会料理と、幅広い顧客層に対応した施設となっている。
同館では以前から、衛生面でのリスクマネジメントという観点から、保健所や外部の検査機関と相談の上、1日3回、決められた時間に従業員が目視で温度を測定し、用紙に手書きで記録する方法で厨房内の温度管理を行ってきた。
一方、温度管理業務の効率化やHACCP(ハサップ)義務化に向けた対応を検討する中で、IoT技術を採用しているタイムマシーン(東京都中央区)の温度監視記録システム「ACALA(アカラ)」を、今年の8月末から3階の厨房内18カ所に設置し、運用を開始した。
同社製品以外にも同様の温度管理システムはあるが、導入の決め手となったのは「初期費用が実質ゼロで、ランニング費用が月額固定料金で安価」「新たな設備投資がほぼない」、HACCP対応に効果的とされる「泡洗浄を行う際など、完全防水センサーなので取り外しなどの手間がかからない」などが挙げられると中江康人総支配人。
同システム導入後のメリットは、(1)温度計測に使っていた時間を調理に充てることができるようになった(2)これまでは同時刻に計測しようと思っていても、業務の都合上難しい場合があったが、毎分の温度ログが切れ目なく自動で計測されているので安心して他の作業ができる(3)同時刻の計測だけでは発見できなかった、温度の変化に気づくことができた(4)ドアの閉め忘れなどによる温度の変化があった場合、アラートで知らせるので安心(5)計測データのレポート作成も、出力したい期間を任意に指定することができ、管理が容易になったと「さまざまな導入のメリットを感じている」という。
中江総支配人は、「今回導入した厨房以外では、従来通りの方法で温度管理をしている。今後、ほかの厨房での導入も進めていきたい」としている。
厨房での温度管理作業の効率化に、導入を検討する価値がある製品だと言える。
この件についての問い合わせ先は、タイムマシーン(℡03・6264・8603)https://tmcn.jp/
冷蔵庫内に設置されたセンサー
PCやスマートフォンで常時温度確認ができる