WTTCは4月18日、観光産業の発展、旅行需要の喚起を阻そ害するような査証(ビザ)制度の改善を各国政府に要求していくことを決めた。東京で開かれたグローバルサミットの議論を踏まえ、世界の観光業界のリーダーの理解を得たことから、結束して要望活動にあたる。今年5月にメキシコ・メリダで開かれるG20(主要20カ国・地域)観光大臣会合には査証制度の円滑化がもたらす経済効果のデータを提出する。
グローバルサミットは、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で開かれ、約1200人が参加。査証制度については、各国の観光・航空分野に対する各種の規制、課税政策と並んで、「厳格な査証政策が世界のツーリズム産業の発展に重大な障害となっている」と参加者らの意見が一致した。
WTTCプレジデント兼CEOのデイビット・スコースィル氏は「近視眼的な政策が観光の成長を阻害しており、査証制度の改善は重要な課題。観光がもたらすGDPや雇用に関するメリットを主張して改善を求めていく」と述べた。観光産業の経済貢献度としては世界のGDPの9%を占め、自動車産業の8%を上回り、直接雇用は9800万人で自動車産業の6倍に相当するなどのデータも示した。
世界の観光業界が連携することの重要性についても強調した。「観光産業は経済の成長や社会の発展に貢献しているにもかかわらず、金融サービス産業や自動車産業の方が政府からより多くの支援を受けている。各国政府のリーダーたちが我々の主張に耳を傾けるように結束しなければならない」(スコースィル氏)。
WTTCは、UNWTO(国連・世界観光機関)とともに、査証制度の円滑化が雇用創出にもたらす効果などについて調査を実施。この調査結果を5月のG20観光大臣会合で発表する。さらに6月にメキシコ・ロスカボスで開かれるG20サミットにも調査結果を提出したい考えだ。