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大野氏
道東の魅力、AT通し発信
「釧路」と聞くと、皆さんはどんなイメージをお持ちですか? 東京生まれ東京育ちの私には、恥ずかしながら「湿原」「日本一の漁港」といった漠としたイメージしかなく、友人も「魚介がおいしいよね」といったコメントばかりでした。正直、ニューヨークやパリの方がイメージ湧く、釧路はある意味、私にとっては外国のような存在でした。
昨年3月より釧路市地域おこし協力隊アドベンチャートラベル推進員として、釧路市を中心とした道東のインバウンド誘致を、アドベンチャートラベル(以下「AT」)を基軸とした地域プロモーションに携わっています。ご存じの通り、ATとは「アクティビティ、自然、異文化の3要素のうち二つ以上で構成される旅行」とATTAが定義していますが、名称からどうしても冒険的な旅行スタイルイメージが先行しているようです。釧路エリアにはハイキングやカヌー、トレッキング等々、ATプログラムが豊富です。今まではプログラムおのおのがメインで、それを単に組み合わせたツアー商品がほとんどでしたが、これらのプログラムを時代背景や人々の生活など一つのテーマで結び付けて旅行することで、それぞれのプログラムの位置付けがハッキリし、ツアー全体テーマが明らかになることを知りました。サロルンカムイ(=湿原の神)とアイヌ語で呼ばれたタンチョウに象徴される湿原とアイヌの人々の関わり、また、明治期における硫黄山(=アトサヌプリ)の日本の産業発展への役割などなど…釧路を含む道東の日本史での位置付け、世界史での役割など、多分、多くの人が今まで気付きもしなかった事実を知ることができ、釧路が私にとって一気に身近な存在になりました。
このようなツアーのコンダクターが「スルーガイド」。彼らの存在なしではせっかくのツアーも消化不良となる、ATで最も重要な役割といえます。現在、私もそれに向けて大学受験以来ほぼ半世紀ぶりに日本史の勉強をしていますが、ボケ防止にも大いに役立っています(笑)。
最近の旅行動向でも「モノ消費」から「コト消費」への転換が急速に進んでいますが、ATこそコト消費の代表ではないでしょうか。
コロナによるインバウンド制限も解けて、多くの外国人旅行者が再び北海道を訪れることができるようになりましたが、外国人のみならずより多くの日本人旅行者の方に、まだ知られていない道東の魅力を、ATを通して積極的に発信してまいります。釧路でお会いしましょう!