【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 559】すぐ取り組める補助金獲得法5 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、初めて取り組む方でも分かりやすいように補助金申請のコツを紹介したい。事業再構築補助金や観光庁の補助金をはじめとして、旅館・ホテル、観光事業者が申し込めるものが相次いで公表されている。助成額が数百万円から数千万円と高額なものが多いので、ぜひ獲得し、アフターコロナにおける業績改善のきっかけとしたい。

 11、高得点を狙える計画ストーリーにする

 補助金申請のための計画書は自己満足にならないように気をつけたい。あくまで評価するのは第三者であり、採点基準は厳密に決められている。

 特に、事業再構築補助金の申請を予定している方は、中小企業庁が公表した「事業再構築指針の手引き」を熟読することをお勧めする。他の補助金制度のように、客室改装やシステム導入、新型コロナ対策を盛り込んでも全く評価されない可能性があるからだ。

 多くの施設は宿泊業という業種、事業を変えずに取り組める「新分野展開」を選択することになるだろう。この分類では、「製品等の新規性要件」「市場の新規性要件」「売上高10%要件」の全てを事業計画で示す必要がある。

 製品等の新規性要件は、自社が過去に取り組んだことがないこと、主要な設備を変更すること、競合他社の多くが既に製造していないこと、定量的に性能または効能が異なることの四つの条件を全て満たす必要がある。

 例えば、今回の補助金でグランピング事業に取り組もうと考えている施設が多いが、他の宿泊業者があまり取り組んでいないこと、旅館・ホテルの施設と比べて性能や効能が明らかに異なることを事業計画でうまく説得できなければ良い評価はもらえないだろう。

 市場の新規性要件は、新製品を販売しても既存製品の売り上げに悪影響がなく、むしろ相乗効果が期待できること(代替性が低いこと)を満たす必要がある。

 現状のオペレーションを変えずに客室数を増やす感覚でグランピング事業の計画を示すと、既存事業と関係性が高いと審査委員に見抜かれ低評価になってしまうだろう。既存施設と競合すると思われてしまうからだ。宿泊業が通常取り組まないようなアクティビティ等を組み合わせて、既存施設の集客力にもプラスになること等を説明に盛り込むことが望ましい。

 売上高10%要件は、5年間の事業計画終了後、新たに取り組む事業の売上が総売上高の少なくとも10%以上となる計画を策定する必要がある。既存事業の売上が大きい施設は、新規事業についても相応の規模で取り組む必要がある。

 弊社ホームページで、補助金採択率の高い事業計画書を作成するためのチェックリストをお配りしている。ご興味ある方はダウンロードしてほしい(https://alfa-consulting.co.jp/)。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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