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■過去のトップ記事  2298号≪2004年10月9日(土)発行≫
≪総合≫
「義務付けや指導あれば表示する」「温度調節や汚水除去のため」 加水や循環、8割は表示せず 国交省 登録施設3000軒調査
 国土交通省が登録旅館・ホテル約3千軒を対象に実施した「温泉表示に関する実態調査」によると、加水、加温、浴槽水の循環を行う施設1146軒のうち、約8割にあたる908軒が、パンフレットなどにその旨を表示していないことが分かった。もっとも、温度調節の加水・加温や沈殿する汚水除去の循環などは適切な温泉管理の一環で、今後「表示を行う予定がない」などと回答した施設でも、「法令上の義務づけ」や「監督官庁の指導」があれば表示する、という意見が見られた。同省では、温泉法を所管する環境省に対し、温泉表示に関する統一基準の必要性を訴えかけていきたい考えだ。

≪総合≫

観光立国とツーリズム産業 TIJ 会長 舩山龍二氏に聞く 観光立国は風土の変革 従来以上に政策提言を

6月の総会で会長に就任しました。どう受け止めていますか。
 「日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)は旅行、宿泊、鉄道、航空など観光に関連する幅広い業種が集まっている。まとめ役は堤(義明=前会長)さんだからこそできた。その意味では重責を感じている。しかし、空白期間を作って停滞してはならないと考え、お引き受けした」

観光立国に向けた動きが強まっています。 
 「観光が従来になく注目されており、ツーリズム産業の底上げを図るにはいいタイミングだ。観光は国土交通省管轄だが、小泉首相が観光立国に意欲を示したため、省庁の垣根を越えた動きが出てきた。例えば、これまで日本の観光PRにあまり関心のなかった大使館も各地で行い始めており、立国への理解が進んでいる」

今年度事業では一橋大との産学連携事業が目を引きます。
 「ツーリズム産業の学問的な裏付けを確立するための事業だ。来年度から正式講座としてスタートする。カリキュラムについては11月には固まると思う。構想では3分の1について我々実務者が講義し、3分の2を教授らにやってもらう。私も立教大で教えているが、生徒の反応は非常にいい。なぜなら具体的かつ最先端の話をしているからだ。ツーリズム産業でやってみたいという学生が増えており、この事業に大きく期待している」

秋休みキャンペーンはTIJならではですね。
 「今年度で3年目を迎え、認知度も上がってきた。ただ学校の制度と直接リンクするだけに、学校の休みと旅行を直接ぶつけるのは慎重にやるべきだろう。いずれにしろ、観光にとっての最大の問題は集中化。このキャンペーンが平準化につながればいい。企業でも計画年休を導入する企業が増えており、家族旅行のあり方も段々と変わってくるのではないか」
 「日本の観光は先進国に比べ滞在が非常に短い。原因はいろいろあるが、1つは旅行費用が高いということ。家族で1泊旅行をすると、距離にもよるがどんなに安くても5万円ぐらいする。現状考えられる最も長いパターンの3泊4日で、一家族で10万円。こういうのを設定できたら割合いけると思う。旅行会社も鉄道も、宿泊施設も10万円にするための努力をして、旅行しやすい環境作りをしなければ、と思う」
   3~4泊しても飽きない魅力が、国内観光地にあるかどうかというのも問題ですね。
 「満足させて、かつ有意義な時間を消費させるプログラムが必要。いわゆるソフトの問題になる。旅館の食事にしても1泊2食にこだわる必要はない。西洋料理のメニューだってあれほどの数は出していない。残す人も多く、無駄が多いという気がしてならない」

インバウンド促進も課題の1つですね。
 「観光立国は世界に開かれた日本になるとともに、日本人を理解してもらう運動であり、日本の閉鎖的な風土を変える運動でもある。本当に外客を増やすには税制面などの優遇策を講じるなど、政府ももっと大胆な施策をとるべきだ。いずれにしろTIJもこれまで以上に積極的に関与していく」

2010年に1千万人は実現可能でしょうか。
 「中国次第だろう。が、問題も少なくない。中国の旅行会社に(日本に旅行者を送る)仕組み、パッケージ化がまだできていないからだ。事前に仕入れて宣伝してパンフレットで募集するのではなく、新聞でただ1行、『中国発日本○○元』『米国○○元』として募集しているのが実情。悪くいえば安ければいいという考えだ。これが続くと安売りがはびこる可能性がある。日本側もインについてはどちらかといえば苦手な分野で、アウトほどのシステムはできていない。ワンウエーではなく、ツーウエーの関係を早く構築すべきだろう」

TIJもいろいろな事業を手がけていますが、TIJしかできないこともあると思います。
 「政治を動かすというか、やはり政策提言だろう。これまで観光立国担当相を誕生させた成果もある。会員にとっても分かりやすいし、我々の要求が実現すればツーリズム産業全体の底上げにつながる。幸い人材は輩出しており、皆さんの知恵、意見を集約し、これまで以上に提言していく」

財政基盤を確固たるものにするには会員を増やさなければなりません。
 「会員数は設立当時99だったが、現在は175となっている。今年度中に2百にしたい」


≪旅行業・運輸≫
「母娘の旅」を発売 鉄旅協の加盟5社 JR3社と共同企画
 鉄道旅客協会(太田孝会長)はJR3社と共同で企画し商品化した「JRで行く 母と娘のおしゃべりな旅」を1日から発売した。昨年、同様の商品を発売したが、好評だったことから「新たな魅力をプラスして、多彩なツアーを造成した」という。同商品はJRの利用増を目的とするもので、温泉旅行のベストシーズンである10月から来年3月(一部12月スタート)まで発売する。JR北海道・四国・九州と協会加盟のJTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行、名鉄観光サービス、農協観光が組んだ。

≪旅館ホテル・施設・団体≫

JCHA 会員の結束と歓迎を表す シンボルマーク募集
 全日本シティホテル連盟(JCHA、清水信夫会長)は、今後のPR活動の象徴となるシンボルマークとキャッチコピーを募集している。「会員の結び付きを象徴するフラッグとして、お客さまを迎える心の誓いを象徴するエンブレムとして、国内外のお客さまにその意が分かるもの」(JCHA)。プロ、アマ問わず応募資格に制限はない。賞金は、シンボルマーク最優秀賞に30万円、キャッチコピー最優秀賞に20万円。各作品とも、A4判白色用紙に3色以内(下地は別)で描く。作品裏面に簡単な作品説明と郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号を明記して、JCHAに12月10日必着で郵送する。

≪国際観光≫

イン促進へ無料セミナー アジア太平洋観光交流センター
 アジア太平洋観光交流センターは、世界観光機関アジア太平洋事務所と国土交通省近畿運輸局と共に、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一環として「インバウンドセミナー2004“デスティネーション・マーケティング・セミナー”」を10月26日に大阪市中央区のホテル日航大阪で開く。定員は2百人で参加は無料。
 今回のセミナーには、国内の観光専門家に加え、韓国、フランス、米国など国外の観光専門家3人を招へいし、当該国における日本向けツアー市場の動向、訪日観光客の日本好感度やその発展につながるマーケティング施策に関する講演を行う。

≪地域観光≫

観光地、携帯で案内 仙台に「モバイル案内所」設置 日観協とKDDI
 日本観光協会とKDDIは6日、仙台でQRコードとEZナビウォークを利用した観光情報案内サービスを実施した。JR仙台駅周辺の名所旧跡や宿泊施設の位置情報をQRコード化し、観光パンフレットに掲載。駅構内に共同で設置した「モバイル観光案内所」で観光客や旅行関係者に配布した。同サービスは、パンフレット上のQRコードを携帯電話で読み込むと、KDDIの歩行者用ナビゲーションシステム・EZナビが現在地を基点に目的の観光名所や宿泊施設まで画面上で案内してくれるというもの。両社では、見知らぬ旅先でも道に迷わず観光地を巡れる点が特徴としている。
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