訪日韓国人旅行者が初めて年間200万人を突破した。国土交通省とビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部は12月21日、東京・羽田空港で記念式典を行った。冬柴鐵三国土交通・観光立国担当相をはじめ関係者が出席。200万人目の旅行者に記念品を贈呈したほか、日韓で活躍する韓国人歌手、ユンナさんのミニコンサートもあった。 式典で冬柴大臣は「1つの国から200万人もの旅行者が来てくれるのは韓国だけ。日韓には古くから交流があり、朝鮮半島から日本への国使『朝鮮通信使』は07年に400周年を迎える。記念行事なども予定されており、さらに多くの方に来てほしい」とあいさつした。 200万人目の旅行者は、同日、金浦空港から羽田空港に到着したキム・キョンヒさんとその家族。冬柴大臣から記念品の往復航空券と温泉旅行宿泊券が手渡された。 200万人達成記念キャンペーンとして12月22日~07年5月下旬の期間、韓国人を対象に航空券や宿泊券を抽選で2千人にプレゼントするほか、韓国主要紙に安倍総理夫妻のメッセージ広告を掲載する。
第8回観光立国推進戦略会議(座長・牛尾治朗ウシオ電機会長)が12月21日、首相官邸で開かれた。約1年ぶりで安倍政権になってから初の開催。木村尚三郎東京大学名誉教授の死去に伴い、新メンバーとして建築家の安藤忠雄氏が加わった。 メンバーのほか、塩崎恭久内閣官房長官、冬柴鐵三国土交通・観光立国担当相らが出席。 同会議では今後、観光立国の推進について、(1)「美しい国、日本」の実現とその情報発信(2)消費者の視点に立った観光需要・消費の拡大(3)観光産業の生産性向上などによる地域活性化──を柱に検討していくことを決めた。 安藤氏は、現代アートや建築を地域づくりに生かした瀬戸内海の直島(香川県直島町)の取り組みを紹介。企業が地域活性化に加わり、自らも美術館の設計を担当している。観光立国の推進にも「企業や民間、個人の力をもっと生かすようにすべきだ」と提言した。
国土交通省は12月21日、「旅行と医学に関する協議会」を発足させた。旅行者の健康と安全の問題では、医学の専門家や観光業界がそれぞれに普及に取り組んでいるが、連携が不十分として関係者間で情報交換を進めるのが狙い。日本人の国内・海外旅行だけでなく、訪日外国人客への対応も検討していく。 メンバーは国交省や厚生労働省、日本旅行医学会、日本渡航医学会のほか、旅行会社や航空会社、観光団体など。オブザーバーとして旅行保険を扱う企業も参加している。 国交省の柴田耕介総合観光政策審議官は「中高年の旅行意欲が高まり、旅行中の疾病は増えている。海外旅行ではSARSなどの影響も記憶に新しく、また訪日外客についても言葉の問題など医療面からの受け入れ体制が課題だ」と語った。 出席者は一般消費者や旅行業従事者への知識の普及、研修状況などを報告。半面、訪日外客に向けた事業は未着手のところが多い。ただ、日本旅行医学会はホームページ上の認定医リストに06年から「英語での診察の可否」の項目を追加したほか、受け入れ態勢などを検討。日本渡航医学会もシンポジウムを開催するなど検討を進めている。
総務省はこのほど、07年度から実施する「頑張る地方応援プログラム」の概要を発表した。魅力ある地域づくりに向け、観光振興・交流、地場産品の発掘・ブランド化、定住促進──など地域ならではの特色を生かした施策に前向きに取り組む自治体に対し、地方交付税で年3千億円(07年度は2700億円)を支援する。 支援を受けようとする自治体は具体的な成果目標を掲げた独自プロジェクトを作り、ホームページ(HP)などを通して住民に公表する。同省はHPにそれら一覧を掲載、他の自治体と比較できるようにする。 同省は観光振興・交流について「都市と農山漁村との共生・対流や地産地消、外国人観光客の誘致などにより地域活性化や交流に取り組む自治体を支援する」との考え方を示し、想定される事業として(1)グリーンツーリズム(2)郷土料理体験セミナー(3)食や伝統芸能を生かした観光ルートの設定(4)外客向け通訳ガイドの育成──などを挙げている。 施策への取り組みに必要な経費を交付税で支援(3年間)するほか、頑張りの成果を交付税算定に反映する方針だ。