旅館業界が旅館経営の再生支援に自ら動き出した。国際観光旅館連盟会員の有志などが出資し、旅館の事業再生のための新会社「株式会社スパークス」をこのほど設立した。代表取締役社長には、国観連会長でホテル大観社長の佐藤義正氏が就任。支援対象となる旅館を発掘、再生手法を提案し、投資会社やマネジメント会社と提携して事業再生を進める。従来の大手ファンドなどとは異なる、旅館業の振興や地域の活性化といった視点から、独自の旅館再生スキームの構築を目指す。 新会社は、東京都港区に事務所を構え、12月下旬から業務を開始。社名の由来は、SPA(温泉)とMAX(最大)を合わせた造語。資本金は2千万円。出資構成比は、国観連会員有志の20の企業・個人が30%、提携先の「キャピタルメディカ」が50%を保有。同社は、医療機関をはじめ中堅・中小企業の事業再生投資に実績があり、新会社に役員も派遣している。残る20%は現在キャピタルメディカが保有するが、今後、コンサルティング会社など有力な事業パートナーに譲渡する予定。 具体的な業務としては、(1)旅館(または取引先の金融機関)から事業再生に関する相談を受け、再生手法を提案する(2)SPC(資産の流動化や証券化に利用する目的で設立された特別目的会社)の資金調達をアレンジし、取引先金融機関から貸出債権の譲り受けなどを行う(3)提携関係にある複数のマネジメント会社が営業面、運営面で支援し、キャッシュフローを改善する など。 案件の状況に応じて経営者の派遣も行うが、支援終了後は元の経営者に返すことを基本とする。困難な場合にも、地域の特性に見合った第三者に売却する考え。 新会社は組織・事業ともに、公益法人の国観連とは別の企業だが、国観連有志20の出資者は全9支部の会員を含んでおり、国観連のネットワークやノウハウが生きる。新会社内に、出資者以外の国観連会員などを含めたアドバイザリー委員会、投資委員会を設け、事業再生の方向性を検討。投資会社やマネジメント会社に意見を反映させ、旅館業や地域の特性に即した支援を目指す。 支援先は、当面、国観連会員を優先する。支援対象先の選定基準には、(1)財務リストラ後の事業継続力(2)地域や温泉地での重要度、貢献度(3)経営悪化の経緯、要因(4)経営者、従業員の意志 などを重視していく。 佐藤社長は「旅館経営は待ったなしの厳しい状況にある。旅館業界のための再生インフラを業界自らが立ち上げることで、経営ノウハウの共有化や人材流動化に取り組み、地域の有力産業として成長できる仕組みをつくりたい。旅館が持つ“伝統文化”“心”を中核に、時代に即した経営への変革を目指す」と語った。 新会社の年間取扱件数は、当面、投資ベースで3~5件と見込んでいるが、常に10件程度の案件を検討していく計画だ。
三菱地所子会社の四季リゾーツは1日、フェニックスシーガイアリゾートが保有する2施設など新たに6施設と提携し、泊食分離型の客室販売を始めた。 四季リゾーツが「365日いつでも1泊朝食付きで5250円」のコンセプトで展開する「四季倶楽部」の提携施設として、同倶楽部の会員150万人と不特定の一般利用者に対して販売する。各施設からは1日5室以上の客室提供を受ける。手数料は売り上げの5%。予約配信料として施設から受け取る。 新規提携した6施設は、サンホテルフェニックス(宮崎県宮崎市)、ホテル北郷フェニックス(同)、ホテルリッチ&ガーデン酒田(山形県酒田市)、フィットリゾートクラブ(山梨県冨士河口湖町)、文化北竜館(長野県飯山市)、文化軽井沢荘(同北佐久郡軽井沢町)。 同倶楽部ブランドの総施設数はこれで30都府県、57施設(直営15施設、提携42施設)となった。
旅籠屋(東京都台東区)は新たに3ホテルを開業する。「千葉勝浦店」(12室)を3月15日、「軽井沢店」(13室)を4月14日、「須賀川店」(12室・福島県)を4月25日に開く。同チェーンはこれで全15軒になる。 いずれの客室も広さは約25平方メートル。クイーンサイズベッド2台と冷暖房、テレビ、冷蔵庫を備える。宿泊料はルームチャージ形式で、1泊1人5250円、2人で8400円、4人だと1万500円。朝食は無料。