帝国データバンクによると、06年(1~12月)のホテル・旅館経営業者の倒産は105件、負債総額は1739億6100万円だった。集計方法の変更により前年との単純比較はできないが、前年(70件、1406億6200万円)を件数で35件、負債総額で332億9900万円、それぞれ上回った。 帝国データバンクは「宿泊料金の下落に加え、過去の投資負担が重荷となって行き詰まる老舗業者が後を絶たず、今年(06年)に入り、倒産は高水準で推移している」とコメントしている。 ホテル・旅館の倒産件数は06年に入り、前年に1回もなかったひと月の2ケタ倒産が5回(2、3、5、9、12月)発生した。最高は2月の14件。最低は8月の1件。 ただ、月別の負債総額は、100億円以上の大台が前年の7回から4回(1、2、7、12月)に減少。倒産の小型化傾向が見て取れる。最高は1月の399億4900万円。最低は8月の1億200万円。 主な倒産事例は、栃木県のホテル経営会社(資本金9500万円)が負債250億960万円で特別清算(1月)、新潟県の温泉旅館経営会社(同6千万円)が負債30億円で破産(5月)、大阪府のホテル経営会社(同1千万円)が負債196億円で破産(6月)、群馬県の温泉旅館・レストラン経営会社(同5千万円)が負債42億3千万円で民事再生法(7月)、福岡県のホテル経営会社(同5500万円)が負債47億円で民事再生法(11月)──など。 このうち群馬県の会社は、新潟県中越地震発生による関越自動車道の一時閉鎖に伴い、紅葉シーズンの集客が減少。加えて、前年末の豪雪の影響で減収となったうえ、設備被害に伴う損失負担も重く、民事再生法を申請した。 福岡県の会社は、過去の設備投資負担も重く、大手ホテルとの競合から減収が続いていた。再建計画の策定を模索していたものの進展がなく、その後債権者から民事再生法の適用を申し立てられ、開始決定を受けた。 なお、帝国データバンクは、05年4月から倒産の集計方法を変更。任意整理(銀行取引停止、内整理など)を除外し、倒産5法(会社更生法、民事再生法、破産法、商法に基づく特別生産および会社整理)による法的整理のみを対象としている。そのため05年と06年で年計の単純比較はできなくなっている。
JTBは1月30日、民事再生を同日申し立てたマップジャパン(溝口洋介社長、東京都中野区)の再生支援を行うと発表した。マップジャパンには、リクルートがスポンサー支援を表明しており、これに合わせてJTBも支援を行い、リクルートと協力してサービスの継続に取り組むことにした。 マップジャパンは、宿泊施設向けコンピュータシステムの開発のほか、宿泊予約通知の共同配信システムなど宿泊流通にかかわるシステム面でのサービスを展開。資本金は2億8050万円、従業員数は123人(ともに1月現在)。 JTBグループでは、JTB商事がマップジャパンの主力製品の販売代理店であるほか、複数の旅行関連部署で同社のシステム、サービスを利用している。