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地域観光 第2409号《2007年2月17日(土)発行》  

長野県が「観光部」を新設

 長野県は、観光業の振興を県主体で推進するため、4月1日付で組織改正を行い、50人体制の「観光部」を新設する。現体制では「商工部産業政策課企画・観光係」が観光の主管部署で、人員は本庁と出先機関を含めて28人前後。組織を強化し、観光施策の総合的な展開を目指す。

 観光部は2課体制。企画調整や計画策定、各種調査、許認可事務などにあたる「観光企画課」(職員数10人)と、観光宣伝や誘客促進、人材育成、国際観光などを推進する「観光振興課」(同15人)。

 現地機関として、東京、名古屋、大阪の観光情報センターに職員10人を配置。県内10の地方事務所にも観光担当者を各1人置く。信州・長野県観光協会への派遣は5人。

 長野県が実施している「観光地利用者統計調査」によると、県内観光地の延べ利用者数は、過去10年は9千万~1億人で推移してきたが、05年は2年連続の減少で8918万人。観光消費額も2年連続で下降。観光の活性化が課題となっている。

 県総務部行政改革推進課では「自然や文化など豊富な観光資源を有効に活用し、県が主体となって観光産業の振興を図るため、観光部を新設し、すそ野の広い観光施策を明確かつ総合的に推進する」としている。



富山県の商工会が立山の魅力を全国に発信
天然水のパンフレット


 富山県商工連合会と立山町、上市町、大山町(現富山市)の3商工会は連携して、立山山ろくの魅力を全国に発信する目的で観光振興と特産品の販路拡大プロジェクトを始めた。地元の名所を巡る観光タクシーの運行や、インターネット上にホームページ(HP)の開設で3地域の観光スポットを紹介し、特産品も販売する。

 プロジェクトの狙いは、年間百万人以上の観光客が訪れる立山、黒部アルペンルートだけでなく、立山連峰のふもと地域のブランド化を図りアピールするため。

 同プロジェクトの観光振興策として進める観光タクシーは、立山、上市両町が運行する。全国有数の磨崖仏の不動明王を本尊とする大岩山日石寺(上市町)や、立山寺を巡る「剱岳山麓お寺めぐりコース」や、立山カルデラ砂防博物館と立山博物館を巡る「立山の自然と歴史コース」など冬季限定4コースを設定。HPでコースを紹介し、予約を受け付けている。また、特産品のネット販売は、大山町の「みょうが寿し」や立山町の天然水「美女の舞」などの約20商品があり、今後特産品の種類を増やしていく予定。

 3商工会は、立山山ろくの認知度を全国的に高めるため販促活動も力を入れる。観光タクシーの利用者や同HPで販売している特産品2千円以上の購入者に限って、人気キャラクターのキティちゃんが修験道の格好をしたオリジナルキーホルダーとミニ観光冊子をプレゼントする。

 また、東京・有楽町にある富山県アンテナショップ「いきいき富山館」で19日から25日まで開催している「立山連峰お取り寄せ逸品フェア」で立山山ろく商品2千円以上の購入者には期間中毎日先着30人にキティちゃんがプレゼントされる。



三宅島、2輪レースで観光復興へ
 火山の噴火による避難指示の解除から今月で丸2年を迎えた東京都の三宅島。現在、噴火前の人口の7割にあたる約2900人が島に戻っているが、年間観光客は以前の約半数にとどまっている。三宅村は、基幹産業である観光をはじめ各種産業の復興に向けて、今年11月、日本初という一般道路を使用した本格的なオートバイレース大会を開催する。実行委員会が組織され、大会名称の募集を開始するなど準備が進められている。

 大会は11月9~11日の予定。コースは島を周回する約30キロメートルの一般道路。レースのほか、著名ライダーのエキシビジョン走行などの各種イベントも検討中。レース規則や出場者募集など計画の詳細は4月をめどに発表する。大会名称は一般公募中で3月30日の「東京モーターサイクルショー」の会場で結果を公表する。

 三宅島オートバイレース実行委員会、三宅村を中心に、東京都の全面支援、日本モーターサイクルスポーツ協会の協力で開催。実行委員会は昨年12月に発足、1月26日にはホームページを開設、今後はNPO法人化を目指している。

 公道のオートバイレースでは、モナコGP、マカオGP、英国のマン島TTレースなどが世界的に有名。三宅島の大会は、産業復興のはずみにするとともに、これらのレース同様、世界の注目を集める大会として成功が期待されている。

 特に同じ離島という条件下で開催されるマン島TTレースは1907年開始という歴史ある大会で、昨年6月には三宅村の平野祐康村長、石原慎太郎都知事らがレースを現地視察している。

 三宅村復興政策室の宮下亮観光振興係長は「オートバイレースは、三宅島観光のアピールにつながる。もともと釣りやスキューバダイビングなど島の自然を生かした観光でリピーターを増やしてきた。こうしたリピーターを呼び戻していきたい」と語った。

 現在、三宅島の宿泊施設は噴火以前の半数の約40軒が営業しているが、年間観光客は約半数の4万人前後と回復には至っていない。地元では署名活動を行うなど、航空路の早期再開なども要望している。


島根県、大阪で石見銀山遺跡などをPR
澄田知事


 島根県は8日、大阪市北区のリーガロイヤルホテル大阪で、関西地区島根県観光情報説明会を開催した。関西地区の旅行会社や報道関係者など約300人が出席。説明会では、澄田信義・島根県知事が、世界遺産登録が見込まれる石見銀山遺跡や、3月10日開館の島根県立出雲古代博物館、松江開府400年祭事業などを中心に島根県の観光の魅力をアピールした。

 プレゼンテーションでは、島根県立古代歴史博物館について施設の説明があったほか、上田正昭名誉館長が、同博物館誕生までの経緯やエピソードを語った。

 石見銀山遺跡では、和田亮・太田市観光課長と篠原修・浜田市観光係長が受け入れ状況や観光コースについて紹介。遺跡を守りながらの観光振興について理解と協力を旅行会社に呼びかけた。松江開府400年祭事業は、同祭推進協議会の西尾俊也事務局長が町並み歩きを中心に、07年は「菓子」、08年が「食」、09年に「伝統」、10年には「物産」をそれぞれテーマにしたシンボルイベントを展開し、最終年の11年に開府大博覧祭を開催する計画を説明した。



栃木県、東京に「企業・観光誘致センター」設置へ
 栃木県は4月1日、栃木県東京観光事務所内に「とちぎ企業・観光誘致センター」を設置する。現在の「栃木観光センター」(東京都中央区京橋)は2月16日で閉所する。新センター設置までの間、業務は同県東京事務所が行う。

▽栃木県東京事務所(東京都千代田区平河町2-6-3都道府県会館11階、TEL03・5212・8715)。


月岡温泉で「健康づくり大学」
 1月24日、25日に新潟県新発田市の月岡温泉で「健康づくり大学」が行われた。同温泉での開催は初めて。周辺地域から60人近くが参加し、太極拳講座=写真=やアロマセラピー講座などを受講し、「温泉療法」に取り組んだ。

 講義テーマの「もっと美しく、もっと知的に健康になる」は、会場となった月岡温泉が美人の湯と言われることに由来する。「美」がテーマということもあってか、参加者の約65%が女性。太極拳や水中運動などの運動指導を受けたほか、温泉療法や環境療法などについて学んだ。

 今回は環境療法の1つとしてアロマセラピー講座が行われた。雪の多い地域では、冬に森林浴などの環境療法を行うことが困難となることから、アロマセラピーで同じ効果を人工的に体験しようという試み。

 健康づくり大学は民間活力開発機構(民活機構、東京都中央区)が04年度から実施している事業。各地域・温泉の特性に合わせて民活機構が「健康づくりカリキュラム」を作成し、これに合わせて市町村や旅館組合などが講座を行う。04年度に箱根強羅温泉(神奈川県)、05年度に草津温泉(群馬県)で試験的に実施し、06年度からは10カ所がこの取り組みに加わった。


長崎県で「全国ほんもの体験フォーラム」
体験型観光の有効性などを確認

 体験型観光に積極的に取り組み、成果を上げている地域の事例や課題を議論する「全国ほんもの体験フォーラムinながさき」が10~12日の3日間、長崎県松浦市と平戸市で開かれた。会期中、約千人以上の参加を記録し、前回大会の約6百人に比べ大幅増となった。この数字からも体験型観光への関心がさらに高まっている、といえそうだ。

 同フォーラムは今回が4回目の開催。10日はプレイベントとして体験ツアーを、11日は東京大学名誉教授で「バカの壁」などの著書がある養老孟司氏の記念講演、長崎県内の各インストラクターによる取り組み発表、公開パネルディスカッションなどを、12日は課題別の研究分科会を催した。

 今回、開催場所に選ばれた北松浦半島地域では、島や半島ならではの自然や農林漁業などを「松浦党の里ほんなもん体験」としてプログラム化。03年に最初の修学旅行を受け入れてから順調に実績を伸ばし、06年度の受け入れは58校・1万人が確実になっている。

 11日のフォーラムの開会には長崎県の金子原二郎知事も駆けつけ、「(北松浦半島の)皆が一生懸命に取り組んだことが今につながった」などとあいさつ。国土交通省からは石川雄一・総合政策局観光地域活動支援室長が登壇し、「各地域で問題となっている過疎化対策には、交流人口の拡大しかない」などと述べ、体験型観光の有効性を強調した。

 11日の目玉は「日本の観光振興を支える地域のほんもの体験」をテーマにした公開パネルディスカッション。藤澤安良・体験教育企画代表がコーディネーターを務めた。体験型観光の推進で経済的な効果だけではなく、地元住民も元気になっていることが明らかにされた。「受け入れた生徒さんの不登校が直った、という目に見える教育効果のほかに、生徒さんに刺激を受けた地元(受け地)のお年寄りが元気になっている。実際に医療費が減少傾向にある」(加蘭明宏・沖縄体験学習研究会ニライカナイ代表)といった報告もあった。

 なお、第5回の同フォーラムは来年の3月、沖縄県での開催が予定されている。

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