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旅館・ホテル 第2413号《2007年3月17日(土)発行》
新志摩観光ホテル、全室スイート仕様に
近畿日本鉄道は総工費約40億円をかけ、新しい志摩観光ホテル(志摩市賢島)の建設に着手する。現ホテルの客室数は125室だが、新ホテルは51室で、全室スイートルーム仕様にする。利用料金も大幅にアップし、グレード感を高める。来年9月のオープンを予定している。
現ホテルは51年4月開業。昭和天皇のご宿泊や小説の舞台ともなり、放送中のテレビドラマ「華麗なる一族」でも登場するなど、知名度は高い。料金は1人約3万5千円から(1室2人利用、1泊2食)。
新ホテルは現ホテルから少し離れた丘陵地に建設。地上5階地下1階建て、述べ床面積は約1万1千平方メートル。客室は「国内リゾートホテルでは最大級の約100平方メートルとし、窓に面した浴室を各部屋に備えるほか、寝室と居室を分け、オールスイートルームにする」(同社)。一部客室ではスパトリートメントが楽しめるスパスイートにするという。館内にはフレンチや和食レストラン、屋上庭園なども整備する。
利用料金は5万円からと設定。近鉄ホテルシステムズが近鉄から運営を受託する。
日本旅館国際女将会の定例会で吉村作治氏講演
日本旅館国際女将会(吉田美喜会長、会員49人)は8日、「3月定例会」にエジプトの発掘で有名な考古学者で、サイバー大学学長・早稲田大学客員教授の吉村作治氏=写真=を招いて勉強会を開いた。吉村学長は「世界の歴史遺産に学ぶ文化と伝統」と題して講演。世界遺産の現状や日本の世界遺産への登録状況などを解説した。
また「旅館の女将さんの存在は、古代エジプトで最も広く信仰された女神『イシス神』に似ている」「日本の温泉は、神々の彫像を沐浴した『聖なる池』に通じる」などと話し、日本の伝統文化の中で温泉旅館が果たしている役割の大きさを強調した。
吉村氏が学長を務めるサイバー大学は4月に開校する株式会社立の4年制大学。ソフトバンクなどが出資している。全授業をインターネットによる通信教育で行う。本部を福岡アジアビジネス特区に置くことで、文部科学省から学校法人ではなく株式会社での設立を認められた。
学部はIT総合学部と世界遺産学部の2つ。世界遺産学部の卒業生には世界遺産学士の学位が与えられる。
源泉湯宿を守る会が見学会実施
あせび野の源泉を見学する参加者
源泉を放流式で利用している宿がつくる「源泉湯宿を守る会」(平野富雄会長)の源泉見学会が6、7の両日、静岡県伊豆市の嵯峨沢温泉「湯宿嵯峨沢館」(植田将歳代表取締役)で行われた。会員旅館ら23人は伊豆半島の温泉の泉質や温泉表示について学んだのち、意見交換を行った。
源泉見学会は4回目。これまで中房温泉(長野県安曇野市)、桜田温泉(静岡県松崎町)、鶴の湯温泉(秋田県仙北市)で開かれている。
見学会では平野会長から「伊豆半島の火山と温泉」とのテーマで講演が行われた。平野会長は熱海や伊東など東伊豆と湯ヶ島など中伊豆の温泉の性質を解説。火山性温泉と非火山性温泉の仕組みや成分の違いについて、「火山性と非火山性、どちらの性質をも持っている温泉もあるのではっきりと線引きすることは難しい。だが、自館の温泉成分について認識を深め、その効能や源泉の状態を常に把握することが大切」と強調した。
本国会で成立予定の温泉法についても質問や意見交換が行われた。「10年ごとの温泉成分の調査は重要。泉質の変化を知ることで、温泉資源の渇枯状況も知ることができる」(平野会長)。
参加者は嵯峨沢館のほか、姉妹館の湯ヶ島温泉「谷川の湯あせび野」の源泉と露天風呂なども見学。写真を撮りながら熱心に質問する姿が見られた。
源泉湯宿を守る会は現在、正会員として45軒を認定。5月にはさらに1軒が正会員となる予定だ。入会には、源泉または分湯権の所有▽浴槽は源泉掛け流しで、客1人あたり毎分1リットルの目安で給湯されている▽源泉が1年を通して適温で給湯されている▽安全上、加水・加温が必要な場合は性状の変更を最小限に留めるよう努力し、源泉と浴槽の成分の違いを表示する──ことが義務づけられている。また温泉表示も、独自に「宿泊客1人当たりの温泉量」など8つの項目を掲示するよう定めている。
事務局長の佐々木富貴子氏は「入会資格が厳しいと思われるかもしれないが、温泉事業者が自ら厳密な基準を守ることが温泉資源と温泉文化の保持につながる。多くの人に本物の温泉の良さや効能を感じてもらいたい」と話す。
同会では今後も源泉見学会などを実施し「源泉掛け流し」を訴えていく。
イシン・ホテルズ、宇都宮市のホテル取得
イシン・ホテルズ・グループはこのほど、栃木県宇都宮市のホテルフェアシティを取得した。同グループの県内でのホテル取得は初めて。名称は変更しないが、「改装は検討中」という。
フェアシティはJR宇都宮駅に近く、「観光ではバスを利用して近郊の景観公園、大谷資料館などがお勧め」と同グループ。地上11階建てで、総客室数115室。宴会場3、レストラン5施設などがある。
ホテリエ・オブ・ザ・イヤーに富士屋ホテルの勝俣氏
勝俣氏
日本のホテル産業の社会的ステータス向上と、日本のホテルマンがプライドを持ってホテル産業に取り組むことを目的として、06年度に最も輝いたホテルプロパーの経営者、運営者、役員、幹部や社員を選び、功績を顕彰する「ホテリエ・オブ・ザ・イヤー2006」の表彰式が7日、東京・八重洲富士屋ホテルで開かれた。3回目を迎えた今回は勝俣伸・富士屋ホテル社長が受賞した。
主催は日本ホテル産業教育者グループ(山口祐司会長、大学教授約30人)。賞の選考基準は(1)ホテリエとしての一貫性(2)社会・地域貢献度(3)業界貢献度(4)将来における社会貢献度(5)人格・識見・社会貢献度──となっている。
「満場一致」(岩崎公生選考委員長)で選ばれた。受賞理由は、「宮の下富士屋ホテルは明治11年に山口仙之助氏が温泉旅館を買収し、洋風に改装、富士屋ホテルと改称した。外国人専門のホテルとして開業以来、国際観光地箱根というリゾートで、いまだそのクラシックな建物や施設などを維持し、観光地のホテル経営が低迷化する中で、たゆまぬ努力を重ねている。また箱根地区の観光産業・宿泊業界のリーダーとなり、その発展に寄与している。長年にわたり日本ホテル協会の研修委員会でホテルマンの社会的地位・能力開発に寄与し、今年度から研修委員長を務めている」となっている。
勝俣社長は「光栄だ。私でいいのかと思っている」と謙虚な姿勢で受賞の喜びを述べた。初代会長の鈴木博氏は「この会のメンバーは、日本のホテル業を推進する人がそろっている。果たす役割が大きい」と強調。作古貞義前会長は「ホテル産業をトヨタに次ぐような産業にしなければ社会的地位は向上しない」とした。江口恒明本社社長も今後を期待するあいさつを述べた。
なお、日本ホテル産業教育者グループは、ホテル・旅館経営のあらゆる分野の専門家で構成されており、同グループでは「講演、研修、コンサルティングなどで利用してほしい」(田中掃六流通経済大学教授、TEL045・846・1591)としている。
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