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観光行政 第2415号《2007年4月7日(土)発行》  

国交省、「地域が提案する魅力ある旅行商品説明会」を開催、21地域が企画商品をPR
  国土交通省は、地域密着型の旅行商品の創出・流通を促進しようと、「地域が提案する魅力ある旅行商品説明会」を3月28日に都内で開催した。21地域が、地元の観光資源を生かし企画した商品をPR、旅行会社28社が出席し、個別商談を繰り広げた(写真)。この説明会は、地域の活性化につながる観光振興、新たな旅行需要の創出を目的にしたもので初の試み。

 観光地域まちづくりコンサルティング事業の一環。同事業では有識者や旅行業者でつくるアドバイザリー会議を地方ごとに設置し、全国90の地域に対し商品造成などで提言、特に20地域に集中的なコンサルティングを実施した。この事業の中から21地域が今回の説明会に臨んだ。

 各地域が約5分間ずつのプレゼンテーションを展開した。歴史や文化、自然などの観光資源を生かした旅行商品をアピール。新潟県上越市は「はすまつり」と戦国武将・上杉謙信のゆかりの地を組み合わせたツアーを、千葉県館山市はウミホタルを観察できる海辺の体験ツアーなどを紹介。熱心な商品PRが続いた。

 国交省の住吉清・観光事業高度化企画官は「地域が企画した旅行商品をよく知ってもらい、商談に結びつけ、国内旅行の活性化につなげてほしい」とあいさつ。国交省では商品化や流通の促進を図るには、地域と旅行会社の連携・協働が欠かせないとしている。

 28日には、同事業での地域の取り組みを紹介したホームページ「地域発・ニッポンの『新しい旅』を作る企画集」を立ち上げた。


VJCのタイ親善大使に女優のTIKさん
冬柴国交相から任命書を受けとるTIKさん

 国土交通省は、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)のタイ親善大使に女優のTIK(ティック)さんを任命することを決め、2日、任命式を行った。

 TIKさんはタイ国内で放送されている日本の観光紹介番組「Say Hi!」のメインパーソナリティを務めている。

 今後親善大使として「Say Hi!」内でのVJC広報や新聞・雑誌等のVJC広告、紙面に登場する。また番組内で放映されたコースのツアー化やTIKさんと行く訪日旅行も造成予定だ。

 TIKさんに任命書を贈呈した冬柴国交相は「今年は日タイ観光交流年であり、日タイ修好120周年にもあたる記念の年だ。是非たくさんの方に日本に来て欲しい」と激励した。TIKさんは「より多くの人に、よりよく日本を知ってもらえるよう活動してきた。これからも尽力していきたい」と抱負を述べた。


日本のみやげが決定、民工芸品部門金賞は常滑焼風鈴
 ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の一環で開催した「魅力ある日本のおみやげコンテスト2007」の選考結果が3月22日発表された。常滑焼風鈴(とこなめ工房陶翔・愛知県)が民工芸品部門の金賞を受賞したのをはじめ、3部門で6点を選定。VJC重点12市場ごとに特別賞(地域賞)12点も選定した。入選した商品は主要空港などで紹介される。

 主催は国土交通省、VJC実施本部。各地の土産品を発掘、育成するとともに、日本の魅力の1つとして海外に発信するのが目的。応募総数は398点に上った。

 吉村作治氏(写真、サイバー大学学長、早稲田大学客員教授)を委員長に、VJC重点12市場の国・地域の大使館や観光局の職員、有識者などで構成する選考委員会が審査にあたった。

 同日都内で開かれた選考会で吉村委員長は「エジプトが8割だが、私も海外に行くことが多く、その度に日本の土産品を買っていく。そのため土産品には詳しいが、このコンテストを契機にその良さをさらに広めていきたい」と語った。

 3部門の選考結果は次の通り。

 【食品部門】▽金賞―酒古良(大雪乃蔵・北海道)▽銀賞―わさびドレッシング(田丸屋本店・静岡県)▽銅賞―古伊万里カップ酒「NOMANNEノマンネ」(古伊万里酒造・佐賀県)

 【民工芸品部門】▽金賞―常滑焼風鈴(とこなめ工房陶翔・愛知県)▽銀賞―元祖福を招くまねき猫(冨本人形園・愛知県)▽銅賞―ミニわらべ人形根付(キーホルダー商会・神奈川県)

 【生活用品その他実用品部門】▽金賞―日本のお土産 本物そっくりお寿司キーホルダー(京都シルク・京都府)▽銀賞―タンブラー(コーセンドー・群馬県)▽銅賞―根付・携帯クリーナー(同・同)



環境省、温泉排水の規制強化を見送り
 温泉旅館からの排水に含まれるホウ素やフッ素の規制基準が7月から厳しくなることで、旅館業者や温泉地を抱える自治体などは危機感を強めていたが、環境省は3月29日、実施を3年先送りすることを決めた。また同省は旅館の排水規制について特に言及、現時点での考え方を示した。処理機(除去装置)の問題については「処理過程で大量に発生する廃棄物の削減、省スペース化、低コスト化といった課題の解決に向け、関係業界による技術開発を促していく」と述べている。

 同省は6月に水質汚濁防止法に基づく省令を改正し、現行の暫定排水基準を2010年6月末まで延長する。対象は旅館業を含め、電気メッキ業やうわ薬製造業など7業種。

 ホウ素やフッ素は人体への健康被害が懸念され、01年の政省令改正で有害物質として加えられた。周知期間は3年間とし、工場などを含めた排水基準(一律基準)はホウ素が1ミリグラム当たり10ミリグラム以下、フッ素は同8ミリグラム以下と定められた。

 しかし、温泉を利用する旅館業の場合、直ちに対応するのは困難として、規制が緩やかな暫定基準(ホウ素は同500ミリグラム、フッ素は同15~50ミリグラム)の対象としていた。

 旅館業を含めた26業種については、04年にさらに3年間暫定措置が延長され、今年6月末にその期間が終了。7月からは一律基準が適用されることになっていた。

 旅館側は除去装置導入に多額の費用負担がかかるため「暫定基準が撤廃されれば、廃業に追い込まれかねない」などと反発。また、(1)温泉は自然に湧き出すものであり、そこを規制するのはおかしい(2)日帰り温泉入浴施設は排水規制対象外であり、旅館だけを規制するのは平等ではない――として、適用延期を求めていた。

 各地の温泉旅館組合に加え、全国市長会の温泉所在都市協議会(87市で構成)も暫定基準の延長や、除去装置の低廉化のための技術開発や設置促進に向けた財政支援を行うよう要望書を同省に提出していた。

 同省は暫定基準延長の決定に伴い、今後3年間でこれまで以上の改善を進める方針。具体的には(1)業界ごとに実行可能な計画の作成(2)専門家による技術的助言の実施(3)処理技術の開発――などを実施し、「産官学一体となってフォローアップに努める」(水環境課)考えだ。

 同省は旅館側からの意見について特に言及。温泉への規制については、「源泉からの湧出量はその3割弱が自噴だが、7割強は動力による汲み上げで、多くの温泉ではこれらが混在した状態で利用されている。自然由来の温泉は全体の3割に満たない状況。公共用水域の環境保全の観点から状況把握に努めていく」としている。

 また、日帰り施設との関係では、ホウ素、フッ素を含む火山地帯の温泉地にある日帰り温泉から、大深度掘削により鉱物をほとんど含まない水を汲み上げている都心の日帰り温泉まで「形態は多様」と指摘。「実態については精査が必要であり、情報収集し検討を進めていく」とした。

 規制強化を免れたことで、温泉旅館業者、関係自治体の担当者は安堵の表情を浮かべる。しかし同省の立場としてはそうそう譲歩はしていられないのも事実であり、業界は10年7月を見据えた真剣な対応が求められているといえそうだ。

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