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インバウンド 第2416号《2007年4月14日(土)発行》
JTB九州が韓国最大手旅行業者と提携、日韓交流を促進へ
JTB九州は10日、韓国の最大手旅行会社であるハナツアーと日韓両国の交流の促進を目的に業務提携した。今後増加が見込まれる韓国から日本への個人旅行について、観光地間を結ぶ交通アクセス、困難な繁忙期の宿泊予約といった九州域内の諸問題の解決を図る。また、九州から韓国への観光客の増加も目指す方針で。
業務提携の第一弾事業として、団体旅行商品が一般的な韓国で、初めて九州への個人旅行商品を開発した。湯布院温泉や阿蘇、熊本、雲仙温泉などを回る2泊3日から4泊5日までのコース。ハナツアーの持つ韓国内の27店舗、代理店・特約店5808店舗で10日に発売された。
ハナツアーは、1993年に設立され、ソウル市に本社を置く。従業員数は1300人で、06年度の売上高は1663億円。00年には韓国旅行業界初の株式上場を果たしたという。
2月の訪日外客は約63万人、単月で過去最高を記録
国際観光振興機構(JNTO)が発表した訪日外客数の2月推計値は、前年同期比22.9%増の63万1800人と単月では過去最高を記録した。昨年は1月だった旧正月が今年は2月にあたり、東アジアからの訪日客が大幅に増加。1~2月で比較しても10.8%の伸びを示した。
韓国は、同16.3%増の20万2600人。円安ウォン高の傾向で訪日需要が大幅に伸びた。温泉、ショッピング、スキー、ゴルフなどを目的にした観光客が引き続き増加傾向にある。
台湾は、同37.0%増の12万6700人。「台湾の今年の旧正月休暇は9連休で例年より長く、訪日旅行のプラスに」(JNTO)。日台間の航空路線・増便が拡充されたほか、台湾の国内線航空会社が初めて訪日チャーター便を運航し、北海道旅行などが人気となった。
中国は、同34.8%増の7万5300人。「特に、上海では航空座席の供給が追いつかないほどの好調で、長春、大連、成都など地方都市からの訪日客も増加した」(同)。昨年の航空路線・便数の拡充に続き、2月には全日本空輸(ANA)が中部~天津間に就航している。
香港も同47.1%増の4万1300人と伸びた。
一方、米国は同1.4%増の4万8100人。欧州では、英国が同9.7%増の1万5900人、ドイツが同6.2%増の8600人、フランスが同18.6%増の8800人。オーストラリアは、「ニセコ、白馬などへのスキーツアーが人気」(同)で同10.3%増の1万5600人となった。
奈良県訪れる外国人は「通過型観光が中心」──県の初調査で判明
奈良県が実施した、初の「外国人観光客動向実態調査」によると、県への訪問は「初めて」が83%に上り、リピーターは極めて少なく、訪問地は東大寺と奈良公園周辺に限定され、滞在も3時間以内の見学にとどまっていることが分かった。また、宿泊施設や客室の数が少ないことから、「海外メディアは宿泊が伴わない奈良観光を紹介し、海外旅行エージェントは県内に泊まらない旅行商品を多く造成している」(文化国際部)現状が浮き彫りになった。
調査は昨年9月から11月にかけ、東大寺や薬師寺、法隆寺、明日香村周辺を対象に、同課国際交流員の外国人4人が聞き取り調査した。また、旅館・ホテルなどへはアンケート用紙を配り、外客に答えてもらうよう協力を依頼。1141件の回答があり、うち、79件は宿泊施設による。
調査結果によると、訪問者は韓国、台湾、米国、中国人が多かった。限られたエリアを移動しており、世界遺産・法隆寺や明日香、吉野などがある中南和地域を訪れる観光客は非常に少ない。
聞き取りができた訪問者のうち、中国、台湾、韓国からの約6割以上が大阪と京都に宿泊していた。欧米客も同様の傾向にある。国際観光振興機構(JNTO)の04年度調査では外客の奈良県訪問率は4・8%(29万5千人)と全国10位だが、その多くは県内に宿泊しない通過型観光が中心だったことが明らかになった。
このため、(1)国内客より割安なインバウンド料金の提供や、個人旅行の多様なニーズに対応できる宿泊施設の確保(2)宿泊を伴う客を誘致するため、ターゲットを定めた海外のメディアやエージェントを招いたファムトリップの実施 などが課題としている。
奈良観光について聞いたところ、「景観、風景が綺麗」(韓国)、「静かな環境」(台湾)など良い印象を持っているが、「宿泊施設が不足」(韓国)、「英語の表示看板が少ない」(欧米)などの声もあった。
奈良県は、2010年に外客を年間100万人とする目標を掲げている。今回の調査結果で分かった問題点を広く紹介し、解決に向けて取り組む方針だ。
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