帝国データバンクが4月に行った企業対象の景気動向調査によると、同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は45.3で、前月比0.2ポイント減少した。小幅ながら、3カ月ぶりに悪化した。企業の業績は堅調に推移しているものの、個人消費に対する不安や、米国経済や原油価格、為替の動向に対する懸念がくすぶり、中小企業を中心に多くの企業が慎重姿勢を示している。 調査は全国の企業2万770社を対象に実施した。有効回答企業9650社、回答率46.5%。 業界別では、サービス業が前月比0.4ポイント増の50.3。3カ月連続の改善で、6カ月ぶりに判断の分かれ目となる50ポイントを超えた。同月は降水量が平年より少なかったことで、飲食店や娯楽サービスなどレジャー関連業界の景況感が改善した。 不動産業は同1.8ポイント減の54.6。2カ月ぶりに悪化した。公示価格の上昇など業界環境は良好だが、賃貸住宅の需要期が過ぎたことに加え、取引価格の上昇に伴い、不動産の取得が困難となる企業が散見されるようになった。 建設は同0.3ポイント減の38.4。3カ月ぶりに悪化した。年度末までの工事消化に向けた受注増が悪化に歯止めをかけていたが、特需が一段落した。 製造は同0.2ポイント減の47.0。3カ月ぶりに悪化した。年度末特需がなくなったことに加え、原油価格が再び騰勢を強めていることで鉄鋼、化学関連業種の景況感が大きく後退した。 企業の規模別では、大企業が同0.7ポイント増の48.7。2カ月連続で改善した。半面、中小企業が同0.4ポイント減の44.3。3カ月ぶりに悪化した。これにより規模間格差は4.4ポイントとなり、昨年8月の4.1ポイント以来、8カ月ぶりに4ポイント台に拡大した。 地域別では、北海道が同1.9ポイント増の35.4。2カ月連続で改善した。夏場の経済活動本格化に向けた期待感が高まっていることや、08年のサミット開催地が洞爺湖に決定したことも一部企業の景況感を押し上げた。 東海は同0.7ポイント減の49.1。2カ月ぶりに悪化した。不動産業界の景況感悪化が影響した。このほか南関東、近畿などほかの大都市圏でも悪化が目立った。 最高水準の東海と最低水準の北海道の景況感格差は13.7ポイントで、前月の16.3ポイントから2.6ポイント縮小したものの、依然として高水準が続いている。
帝国データバンクによると、今年4月のホテル・旅館経営業者の倒産は13件、負債総額は524億4100万円だった。前月に比べ、件数で2件減少したが、負債総額で183億4300万円の大幅増となった。 ホテル事業運営の企業(本社東京、資本金36億2千万円)が負債288億6千万円で特別清算となった。同社は81年、建設会社などから出資を受けて設立。親会社のグループが展開していた海外ホテル経営事業の運営を担っていた。ただ、親会社の建設会社が01年に民事再生法を申請。その後株主が変わり、保有する資産の売却を進め、借入金を圧縮。ここに来て清算のメドが立ったことから今回の措置となった。