国土交通省の交通政策審議会観光分科会が17日に開かれた。「観光白書」案を大臣に答申したほか、策定中の観光立国推進基本計画について、事務局から経過報告を受けた。基本計画の最終案は6月に予定される次回の会合で審議する。また、谷野作太郎・前分科会長の任期切れに伴い、新分科会長に平林博・日本国際フォーラム参与を選出した。 観光白書は、閣議決定などを経た後、例年通りだと6月中旬ごろ公表される。今年度版は、観光立国推進基本法の制定をふまえた構成になる。地域に対する観光の経済波及効果について地域事例を挙げながらシミュレーションした分析結果などが盛り込まれる予定。 基本計画については、委員から「観光立国の実現に向けて国交省以外の省庁の対応もきちんと議論すべき」「観光に特化していない地域でも観光に対する関心は高まっており、こうした地域へのメッセージを発信してほしい」などの意見があった。
観光資源の開発などを通して、地域の魅力の全国展開を目指す取り組みを支援する中小企業庁の補助事業「地域資源∞全国展開プロジェクト」の今年度分、233件が決定した。 地域ブランドの確立や地域資源を生かした新商品の開発、新たな観光の創出などの分野で「全国区」を目指す挑戦が始まる。全国の商工会、商工会議所が地域の事業者と一丸となって取り組む。商工会関係は800万円、商工会議所関係は900万円を上限に補助金を出す。 例えば、北海道の帯広商工会議所では「ばん馬」を活用し、使用済み蹄鉄を再利用したリサイクル商品を作ったり、観光ルートの開発や大規模集客イベントの実施などで観光客誘致を図る計画だ。
アジアとの交流拡大を通じ日本の成長力を確保するための構想を議論してきた政府の「アジア・ゲートウェイ戦略会議」(議長・安倍晋三首相)は16日、航空市場の自由化促進などを盛り込んだ最終報告をとりまとめた。最終報告は観光振興の重要性にも触れ、日本の魅力の向上、発信に貢献した外国人を首相が表彰・顕彰する制度の創設や、海外にクリエイティブ・センターを設立することなどを求めた。 最終報告は6月の「経済財政運営の基本方針」(骨太方針2007)に盛り込み、順次実現を目指す。 構想の最重要項目の1つに「日本の魅力の海外発信」を盛り込んだ。柱は、総理表彰・顕彰制度創設とジャパン・クリエイティブ・センター(仮称)の設立。 表彰・顕彰制度については「日本独自の評価」を世界に分かりやすい形で示し、将来の日本の魅力の担い手を国内外に増やしていくのが狙い。具体的には「漫画など日本独自の表現方式を使った作品、世界が憧れる日本の表現者、日本の魅力の向上・発信に貢献した外国人などを首相が表彰・顕彰する」もの。 また、センターはシンガポールを皮切りに海外に設立する。センターでは日本語教育や留学生支援に加え、官民協力のもと、「メディア芸術祭」「日本ファッションウイーク」などといったイベントや、有名漫画家による漫画教室の開催など、「目に見える形での魅力的なイベントを恒常的に実施する」と方向性を示した。