日本観光旅館連盟(佐久間進会長、4181会員)は12日、07年度通常総会を東京都千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で開いた。役員改選では佐久間氏を会長に再任。国際観光旅館連盟との合併が延期となった問題では、「再編統合について」と題した議案を審議、引き続き実現に努力する方針を全会一致で可決した。佐久間会長は、両団体で合併推進協議会を設置、名称問題などでの協議方針を一度 "白紙" に戻した状態から調整し、「2年以内、できれば1年以内に合併を実現したい」との考えを示した。 合併問題で佐久間会長は「観光を国づくりの柱とする機運が高まる今、強力な新生団体は時代の要請であり、この機を逃してはならない。会員が漏れなく新生団体に移行できるように推進協議会で調整したい」と述べた。 協議会の進め方について佐久間会長は、質疑に答える形で、相互に白紙の状態から問題点を調整する姿勢を表明した。協議会の設置は、合併延期が濃厚となった今年3月、日観連が提案。これに対し国観連は、日観連が協議の基本方針に(1)新団体名に「ホテル」を入れる(2)日観連の現行会費を維持する(3)存続法人は日観連とする──を挙げたことを、協議に前提条件を付けるものと疑問視、相互に白紙の状態から議論すべきと指摘していた。 総会には国土交通省の柴田耕介・総合観光政策審議官が来賓として出席。懇親会には、藤野公孝参院議員、細田博之衆院議員、谷本龍哉衆院議員らが駆けつけた。 役員改選は、副会長、専務理事は全員が再任。新任の役員は次の通り 理事 = 上野洋司知床第一ホテル)、山下久幸(アクアガーデンホテル函館)、岡崎傳三郎(堺屋旅館)、石塚正行(ホテル摩周) 、竹内康彦(ホテル竹島)、長谷川憲男(旅館南都) = 敬称略
鳴子ホテル(宮城県鳴子温泉)は今年秋にリニューアルオープンする。足湯を備えた客室を新設するほか、バイキングレストランも全面リニューアルする。 足湯は「紅葉館」7階の全客室(7室)に設置。露天形式で、近くの山並みを眺めながら、ゆったりと源泉かけ流しの湯を楽しめる。 バイキングレストランは、オープンキッチンを新設。和の雰囲気を大切にしつつ、機能性を追求した。 大浴場「芭蕉の湯」「玉の湯」は自慢の湯が一層引き立つような内装に一新。照明にもこだわった。 足湯付き客室とバイキングレストランは7月下旬のオープン。9月下旬は大浴場とエントランスロビーのリニューアルが完了する。 同ホテルは創業134年の老舗。昨年12月からオリックス不動産が再生を支援している。今回のリニューアルでは、従来の団体客を大切にしつつ、個人客、特に30〜40代の女性同士の客層を取り込みたいとしている。
季一遊(静岡県南伊豆・弓ヶ浜温泉)は今月28日、メゾネット仕様の客室とダイニングを備えた新館「離れ館・季の倶楽部」を開設する。 4階建て。客室は3・4階を利用する3室と、3・2階を利用する3室の計6室がある。すべてに露天風呂と内風呂を設置。風呂は主室と別階にあり、2人客以外の家族・グループ客でもゆったり利用できる室内仕様になっている。女性客に向けて高級アメニティをそろえている。 客室と客室の間に約1メートルの空間があるため、隣室の音が気にならない。室内の主室からは海側と川側の両方の眺望を楽しめる。 ダイニング「旬のありか」は、伊豆半島の旬の食材をメーンに提供。南伊豆特産のイセエビは年間を通して提供する。 新館のオープンに合わせてアロマテラピーを使った本格スパ「ゆめみ凪」がオープンする。
RAKO華乃井ホテル(長野県諏訪市)はこのほど、メタボリックシンドロームが心配な人に向けて、健康維持のアドバイスをする2泊3日の「メタボリックプラン」を設定した。 肥満度、血管年齢、体脂肪率、エネルギーバランス、日常生活の食品バランスなどを診断。健康状態を踏まえて水中運動、温泉体操、ストレッチ、ヨガなどのプログラムを行う。 7月11〜13日、9月10〜12日、11月26〜28日の3回。ひとり3万6500円。
全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)は6日、愛媛県松山市の愛媛県県民文化会館で第85回全国大会を開いた。前日の通常総会で正式に就任した佐藤信幸新会長(山形県、日本の宿古窯)は、あいさつの中で、(1)組合員数の激減への対応(2)組織力の強化と活性化(3)ビジネスモデルの発信──の3つの課題に対応すると自身の考えを述べ、「活気ある全旅連をつくりたい」と抱負を語った。 佐藤新会長は、「小原(健史)前会長の志を受け、これまでの活動を継続したい」とした上で、「新たな課題もあり、その対応も必要」と、3つの課題に取り組む方針を示した。 組合員数の減少には、3万軒から2万軒に減少した実態把握ほか、メリットのある、役に立つ全旅連として「必要な時に必要な情報を取り出せる」インターネットのコミュニティサイト構築に力を入れる。 組織力の強化には、都道府県理事長の意見をブロック会を通じて正副会長会議に積極的に取り入れ、全旅連の運営に反映させる。 ビジネスモデルの発信は、団体から個人に国民の旅行形態がシフトしている状況を受け、時代のニーズに即したビジネスモデルとは何かを研修会を通して研究。組合員に情報発信する。 佐藤新会長は「全旅連の組合員は、少なくなったとはいえ2万軒あり、そのポテンシャルは観光業界を左右する。業界の先輩方の意見に耳を傾け、成功している経営者の英知をお借りし、若い力のノウハウを借りて、活気ある全旅連をつくってまいりたい」と所信を述べた。 大会には全国から約1千人の組合員が参加した。地元愛媛県から、加戸守行・愛媛県知事、関谷勝嗣・観光産業振興議員連盟会長(参議院議員)、大木正治・愛媛県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長(大会実行委員長)が歓迎のあいさつを述べたほか、安倍晋三首相からの祝電、全旅連の「お宿親善大使」を務める卓球の福原愛選手からのビデオレターが披露された。 表彰では、厚生労働省健康局長表彰、全国生活衛生同業組合中央会理事長感謝状、全旅連会長表彰に続き、「第10回人に優しい地域の宿づくり賞」の表彰式が行われた。厚生労働大臣賞はナチュラルファームシティ農園ホテル(埼玉県)、全旅連会長賞は千葉県旅館ホテル生活衛生同業組合が受賞。観光経済新聞社社長賞は皆生温泉おかみ会が受賞し、江口恒明本社社長から賞状を受け取った(受賞者は本紙5月31日付既報)。 大会宣言と決議文(別項)の採択に続き、次年度の第86回全国大会の開催地、山形県の一行が登壇。「山形県に来てけらっしゃい」と多くの来訪を呼び掛けた。 元気な観光地の事例を発表 大会第2部 大会第2部として、「全国街づくり発表会」が行われた。元気な観光地づくりに実績をあげている4温泉地の事例を、全旅連青年部が中心となり発表した。 男鹿温泉(秋田県)は地元青年部員がなまはげに扮して神楽や太鼓を上演。行政を巻き込み地域挙げた活性化に取り組んでいる。 戸倉上山田温泉(長野県)は地元の歴史と文化を掘り起こし、「1宿1ギャラリー」「芸妓観光ガイド」など5つの事業を展開している。 別府温泉(大分県)と湯の川温泉(北海道)は地元の観光資源を生かしイベント化した「オンパク」事業を展開。活性化に実績をあげている。 講演した岡本伸之・帝京大学教授は「観光振興の基本原理は知らせて、見せて、また来たいと思わせること」「町の魅力の半分は空間快適性。町を歩いた時の居心地のよさだ」などと説いた。