日本温泉協会(滝多賀男会長、1758会員)は6月26日、岐阜県下呂市の水明館で会員総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では滝会長を再選するとともに、佐藤好億常務理事(福島・大丸あすなろ荘)の副会長就任を決めた。総会後には特別企画としてシンポジウムが開かれ、温泉の活用方法について意見が交わされた。
下呂温泉での総会は16年ぶり4回目。会員ら約250人が出席した。
総会前の式典には山田良司下呂市長、中村慈県議会議長らも出席。冒頭あいさつした滝会長は、「この30年間で温泉地は1223カ所も増え、温泉地間の競争が激しくなっている。温泉は限られた資源であり、大事に使うことが大切だ」と述べるとともに、協会への加入を呼びかけた。
この日は東京都渋谷区の女性専用温泉施設で起きた爆発事故も話題に上り、滝会長は「日々の管理が何よりも大事だ。この事故で(温泉施設は)厳しいことになる」と顔を曇らせ、学術部委員長の綿抜邦彦東大名誉教授は「深く掘ればメタンガスは当然出てくる。自分たちが使っている温泉を理解した上で使わないとトラブルも起きる」と温泉の“掘削ブーム”に釘をさした。
今年度は(1)協会加入の付加価値を高めるため、新たな情報発信手段を検討する(2)協会として多方面に接点を求め、公益法人改革を踏まえた組織強化と財務の健全化を目指す(3)天然温泉表示看板のPRと普及に努める──の3点を重点目標に掲げ、取り組む。
温泉法の改正や観光立国推進基本計画についての講演も行われた。
シンポジウムでは学術部委員の大山正雄氏を座長に、加藤正夫・元県立下呂温泉病院長、酒井幸子・群馬県温泉協会常務理事、濱田眞之・地熱社長、古田靖志・下呂発温泉博物館名誉館長らがパネリストとなり、温泉の活用方法について持論を述べた。
古田氏は「間欠泉など温泉地にはいろんな資源があり、それらを観光資源として生かすべきだ」とアドバイスし、加藤氏は「温泉を利用した健康づくりは無限の可能性がある」と方向性を示した。
来年度総会は神奈川県箱根町で開催する。 |