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観光行政 第2429号《2007年7月21日(土)発行》  

温泉施設の爆発事故受け、今月中に暫定対策通知 環境省

 環境省は、東京都渋谷区内の温泉施設で6月に起きた爆発事故を受けて、温泉利用時に発生する可燃性ガスへの暫定的な安全対策を今月中にとりまとめ、都道府県に通知する。暫定対策の案は、可燃性ガスが検知される温泉のうち、源泉やガス分離器(セパレーター)などが屋内または地下にある施設を対象に、ガス検知器の設置や安全担当者の配置を要請する内容。新規に建設する施設には、本格的な対策が決まるまで、源泉などを屋内や地下に設置しないように求める内容を盛り込む方針だ。同省などでは、法改正などの本格的な安全対策を今秋までにまとめる。

 温泉利用時の可燃性天然ガスに対しては、施設の安全基準などを定めた明確な法令がない。環境省は6月29日、「温泉に関する可燃性天然ガス等安全対策検討会」(座長=今橋正征・東邦大学名誉教授)を設置し、対策の検討に入った。今月13日には第2回会合を開き、当面の事故防止に向けた暫定対策について有識者に意見を聴いた。

 暫定対策の骨子は、(1)可燃性ガスが含まれる温泉のうち、源泉、ガス分離器、源泉タンクなどの設備が屋内または地下に設置されている既存施設を把握する(2)把握した施設の管理者に対し、十分な換気、ガス検知器の設置、周辺での火気の使用禁止、安全担当者の配置を要請する──などの内容。

 可燃性ガスが通常含まれることがないと考えられる温泉、含まれないと確認されている温泉は、暫定対策の適用対象外となる見込みだが、微量でも可燃性ガスが検知される温泉は要請の対象に入る。対策を採らない施設には、温泉の汲み上げ停止を要請する。

 暫定的な安全対策であることから、運用上の対応と小規模な改修を中心とし、換気やガス検知の具体的な方法、安全担当者の業務内容などには、一律の基準は設定しない方針。個々の施設の特性に応じて管理者が判断することになりそうだ。

 暫定対策の実施後に建設を開始する新規の施設に対しては、可燃性ガスを含む温泉の場合、本格的な安全対策が定まるまで、源泉やガス分離器、源泉タンクなどを屋内や地下に設置しないよう要請する方向で検討している。



消防庁・環境省が温泉施設の実態調査報告、ガス調査の実施は3割に

 消防庁と環境省は13日までに、温泉施設の可燃性天然ガスへの安全対策にかかわる実態調査の結果をそれぞれにまとめた。消防庁では、温泉の汲み上げ設備を屋内に設置している全国479施設を調査。その結果、過去に温泉中の可燃性ガスを調査したことがある施設は全体の約3割にとどまることが分かった。環境省の調査でも、多くの施設が調査を実施していない実態が明らかになっている。

 消防庁は、都道府県の各消防本部が実地調査した結果を集計した。温泉中の可燃性ガスの調査では、過去に実施したことがある施設が156カ所で全体の33%、未実施は323カ所で67%だった。井戸周辺で定期的に可燃性ガスを測定している施設は13カ所、全体の3%しかなかった。

 全施設のうち、ガス分離器の設置は11%、可燃性ガスの検知設備の設置は5%。汲み上げ設備の設置室内の換気対策では、自然換気が32%、換気装置が45%、対策なしが23%。防爆対策を実施している施設は4%。火気使用制限の実施は27%という結果だった。

 また、今回の調査で可燃性ガスに起因する温泉施設の火災事故が過去10年間、全国で11件に上ることも分かった。

 一方、環境省は、都道府県を通じて聴き取り調査を実施した。可燃性ガスを多く埋蔵している地域が対象。調査件数は37都道府県の5764カ所。都道府県間で調査の手法や項目を統一しない緊急調査だったため、総数と回答数が一致しないが、メタンガスの調査を過去に実施した施設は782カ所、未実施の施設は3580カ所だった。

 井戸周辺のメタンガスの定期的な調査は、実施が120カ所、未実施が4382カ所。ガス検知器を設置している施設は133カ所、未設置は4735カ所。ガス分離器の設置は419カ所、未設置は4689カ所。

 井戸や設備の設置場所の内訳をみると、屋内3168カ所、屋外4753カ所。屋内施設の換気方法は、自然換気が1239カ所、換気装置が764カ所だった。



「組織の充実は重要」、国交省次官が観光庁創設検討認める

 国土交通省の峰久幸義事務次官は11日の就任会見で、観光立国の推進などを通じた経済や地域の活性化を重要課題の1つに挙げた。観光庁創設は「検討しているのは事実。決定したことはないが、組織の充実は重要だと考えている」と答えた。

 峰久事務次官は、国土交通行政の最重要課題として、(1)自然災害、交通機関、建築物などに関する国民の安全、安心の問題(2)地域ブロックの自立、アジア・ゲートウェイ構想の実現、観光立国の推進といった経済や地域の活性化の問題(3)地球温暖化対策、伝統文化に根ざした国土形成といった美しい国土づくりや環境創造──を挙げた。

 来年度予算の概算要求では「これ以上の公共事業関係費の削減は厳しいということに理解を得たい。予算の使い方、進め方としては、成長力の強化、地域の活性化、あるいは国民の安全・安心の確保などに重点化、効率化していく必要があると考えている」と述べた。

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