新潟県の食と観光を、安心してお楽しみ下さい──。新潟県旅館組合、新潟県観光協会、新潟ふるさと村、第四銀行の4社・団体は8月21日から24日までの4日間、東京・日本橋の「日本橋にいがた館NICOプラザ」で、同県の食と観光をPRするイベントを開いた。新潟県中越沖地震を原因とする原子力発電所の放射能漏れによる風評被害で同県産の食品と観光の需要が落ち込む中、「放射能漏れの影響はまったくありません」と、首都圏の消費者に向けて熱のこもったPRを展開した。
会場には新潟県の地酒と地ビールを中心に、県内各地の特産品を一堂に並べ、来場者に試飲・試食を楽しませた。また県内各地の観光・温泉地や旅館のパンフレットを並べ、はっぴ姿の旅館女将と旅館組合青年部員らが、それぞれの地域への来訪を呼び掛けた。
7月16日に発生した新潟県中越沖地震により、県内の旅館・ホテルは、直接の被害を受けていない地域も含めて全県で宿泊キャンセルが広がった。震源地近くの原発の放射能漏れに消費者が過敏に反応した格好だ。
県では「新潟の海水浴場の海水から放射性物質は検出されませんでした」「原子力発電所周辺の農畜産物や県内各地の水産物からも放射性物質は検出されませんでした」と、測定結果を公表し、風評被害の払しょくに努めた。
ただ、風評の影響は小さくなく、「秋の予約は前年の3割減。特に11月が厳しい。地元客は戻りつつあるが、首都圏のお客さまの入り込みが戻らない」(温泉旅館専務)、「宿泊したお客さまから『新潟県の魚は出さなくてもいい』と言われた」(温泉旅館社長)と、事態は深刻だ。
原発から100キロ以上離れた瀬波温泉も風評被害を受けた。同温泉「ホテル瀬波観光」の取締役女将、脇本あゆ子さんは「8月中旬からお客さまは戻りつつある。お客さまからの励ましの声が何よりもうれしい。賑わいのない海は寂しいもの。来てくださったお客さまに感謝です」と気丈に話した。
新潟県旅館組合、新潟県観光協会などは9月18日にも東京で旅行業者らを対象にした観光誘致懇談会を行う。 |