近畿日本ツーリスト(KNT、太田孝社長)は8月29日開いた取締役会で、事業の整理、再編を行うことを決めた。来年1月にグループ会社「ツーリストサービス」(TS、諏訪敬幸社長)とKNTの店頭販売事業を統合、店頭販売専門の会社にする。また、地域別カンパニー制を廃止、5つの事業別に再編する。各事業への専門性を高め、急速に変化する市場への対応力向上を目指す。国内旅行事業ではメイト企画部門と国内仕入部門を一体化。仕入れ力、商品力の強化を図る。
KNTは10月1日をめどに、株式交換方式でTSを完全子会社とする。その後08年1月1日に吸収分割方式で事業を分割、KNTが分割した店頭販売事業部門をTSが、TSが分割した商業部門をKNTが受け継ぐ。TSの社名の変更も検討する。店頭販売会社の規模は、従業員数1900人、売り上げ規模約1600億円を予定。現在のTSの事業規模(社員数約1千人、売上高650億円)のほぼ倍となる。店頭窓口は現在TSが展開する約130店舗に、KNTの店頭販売店約130店舗を加えた260店舗となる。
店頭販売部門に属するKNT社員の転籍などについては「詳細は未定」(同社)。なお5月に開いた富裕層向け店舗「ラグゼ銀座マロニエ」は、法人部門所管のため、TSには移管しない。
また、00年に採用した社内カンパニー制を撤廃。従来の地域別カンパニー制に替えて事業別組織に再編する。(1)団体旅行事業(社員数1500人、売り上げ規模1300億円)(2)イベント・コンベンション・コングレス(ECC)事業(同450人、同400億円)(3)提携販売事業(同370人、同1300億円)(4)国際旅行事業(同50人、同60億円)(5)eビジネス事業(同100人、同80億円)──の5つの事業ユニットを作る。
このうち、一般団体、教育団体を中心に扱う団体旅行事業は、全国8営業本部(北海道、東北、関東、首都圏、中部、関西、中四国、九州)を設置、地域特性に応じた営業を展開する。一方、ECC事業は東京地区に特化。付加価値と専門性の高い営業を拡げる。提携販売事業は全国統一の事業組織とし、オペレーション業務の効率化を図る。
また、仕入、商品企画部門では、メイト・ホリデイ事業本部の商品企画部門と本社の国内、海外仕入機能を統合する。このうち国内旅行事業は、従来11カ所だった仕入れ拠点を25カ所に増やし、より地域に密着した営業を展開、「仕入れ力や地域振興事業への提案能力の強化を図る」(同社)。なお本社管理部門は戦略立案とインフラ整備に特化した組織となる。
事業再編後のKNTの08年の業績予想は、売上高4500億円(06年実績4740億円)、営業利益6億円(同3億5千万円)。 |