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地域観光 第2437号《2007年9月15日(土)発行》  

都市農村漁村交流活性化機構が外客誘致へ本腰

 都市農山漁村交流活性化機構(東京都中央区、石井幸孝委員長)は12日、日本の自然や文化を残す農山漁村地域への外国人旅行者の誘致を目的にした観光立村(国際グリーン・ツーリズム=GT)事業のモデルプラン実証調査地区6地区を発表した。外国人モニターの派遣などによる実証調査を通じて、観光立村のモデルを育成する。同事業は農林水産省交付金事業の一環として行われる。

 同機構では観光立村のモデルづくりに向けて、農山漁村地域で活動するNPO法人、第3セクターなどを対象に8月15日まで意欲のある地域を募集した。その結果、モデルプラン実証調査地区に選定した全6地区は、実業年数を今年度1カ年とする地区が埼玉県さいたま市鷺山地区、富山県立山町(平野部)、岐阜県高山市一之宮地区、熊本県山都町の4カ所。08年度まで2カ年実施する地区が宮城県東松島市、長野県飯山市の2カ所。

 選定地区では、(1)日本らしさを生かしたGTの企画作り(2)外国人旅行者を想定した受け入れ態勢の整備(3)外国人旅行者の集客のため、旅行会社など企業や団体との接点づくり──などの実証調査を実施。農家や地元住民と交流する「日本人との触れ合い」、そば打ちなどの「日本文化の体験」をきっかけに、「日本らしさ」を外国人旅行者に体験してもらえるような観光立村モデル地域を育成する。

 第1回モデルプラン実証調査を9月中旬から10月までの期間に1泊2日で実施。地域資源やGTにかかわる組織の活動などの現状把握、外国人旅行者を対象にしたモデルツアーの企画の検討と策定など行う。第2回目は10月中旬から08年1月中旬までの期間、1泊2日で在留外国人などを対象にしたモニターツアーを実施する。活動費用は地域の自己負担だが、モニターツアーにかかる費用などの一部を補助する。

 同事業は、「大都市部の観光情報は手に入るが地方の情報は入らない」「日本らしい観光ブランドが感じられない」などの外国人旅行者からの不満を解消する目的もある。



蔵王温泉、台風9号で給湯管破損

 7日から9日にかけて日本列島を縦断した台風9号による大雨は、各地に被害をもたらした。山形県山形市の蔵王温泉では大雨により土石流が発生。一部の源泉が被害を受け、給湯できない旅館が出た。被害状況が地元紙などで大きく取り上げられたことから、観光客の足も遠のきぎみ。紅葉の季節を前に、風評被害の拡大防止に取り組む構えだ。

 台風に伴う7日の大雨で被害を受けたのは、蔵王温泉の大小40本ほどある源泉のうち、約10本の源泉が集まる「湯左ノ沢源泉」。同源泉は自然湧出の源泉だが、湯を一時貯めておく「分湯枡」と、そこから各旅館に湯を送る配管が土石流で流された。このためこの源泉を利用する4軒の旅館に給湯できない状態となった。露天風呂の一部が壊れた旅館もあるという。

 4軒のうち「堺屋森のホテル ヴァルトベルク」は、宿泊客に蔵王温泉内にある同じ堺屋グループの旅館へ回ってもらうほか、公共の「蔵王大露天風呂」を無料で利用してもらうなどの対応をしている。

 大雨の被害を受けた旅館は蔵王温泉の旅館60〜70軒のうち4軒のみと比較的少ない。また現在給湯が止まっている旅館も14〜16日の3連休までには給湯の再開を目指す。しかし、「普段に比べ、温泉街が静かで活気がない」(蔵王温泉観光協会)。

 風評被害への不安は温泉全体に広がっている。同観光協会では「地元紙の1面に出るなどしたため、蔵王温泉の源泉がすべて潰れたなど、実際よりも被害が大きくとらえられているようだ。紅葉の時期を前に、元気な蔵王をアピールできれば」と話す。風評被害の状況を踏まえ、今後誘客促進策などを打ち出すことも検討していくという。



夕張再建は自虐キャラで
ゆうばり駅でもイベントを実施する


 財政破たんした北海道夕張市を観光で再建しようと、夕張リゾートと広告会社のビーコン・コミュニケーションズは7日、夕張の観光PRキャラクターを発表した。団塊世代の熟年夫婦をターゲットに「金はないけど愛はある」を座右の銘にした"自虐系"キャラクターで、イベントや商品などを展開していく。

 キャラクターの名前は「夕張夫妻」。負債を連想させる夫妻の夫の本名は「夕張父さん(倒産)」、妻は「夕張まっ母さん(まっ赤)」。財政破たんを逆手にとったキャラクターで話題を喚起する。また、キャラクターの特徴を「夫婦円満の御利益がある」と設定。第1弾のイベントは11月22日(いい夫婦の日)に実施する。イベントでは「終着駅は愛の始発駅」と銘打ち、JR石勝線の終着駅となるゆうばり駅を全面改装、除幕式を行う。

 2月以降も「夫婦の愛」などをテーマにしたイベントを企画。2月14日には「甘い愛をもう一度」をテーマに夕張メロン味のチョコレートを作るほか、4月には団塊夫妻向けの観光ツアーを発表。雪どけした爽やかな夕張を巡るツアーを企画している。

 キャラクター開発はビーコン・コミュニケーションズの三寺雅人氏が手がけた。藤倉肇市長は「全国からの善意で夕張市は徐々に元気を取り戻した。今度は市民自らが主体となって動き出す時期。このキャラクターが観光PRの起爆剤になる」と期待を込めた。



 
定住者向けツアーの参加者を募集 呉市

 広島県呉市は市への定住希望者を募り、10月に市内の観光スポットや商店街、医療施設などの視察を組み込んだツアーを実施する。これまで市交通局営業センター、定住対策室が企画、実施していたが、今年度は民間ならではの企画力や集客力などを期待し、旅行業者に全面委託した。

 「くれ」ツアーはJTB呉支店が催行。市以外に住む夫婦(20人)を対象に、10月11〜14日の3泊4日で実施。旅行代金は呉発着で1人2万9800円。添乗員が同行し大和ミュージアムや潜水艦を展示している「てつのくじら館」などの観光スポットのほか、市内商店街や医療施設の視察、下浦刈地区では農業体験なども組み込んでいる。

 参加者には定住に関するアンケート調査を実施し、市の定住支援の施策などに活用する。

 昨年度も同時期に実施し、10組20人の夫婦が参加した。この時は4泊5日の日程で、料金は3万9800円だった。「このうち3組が定住を検討している」(同市)という。

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