観光経済新聞社は19日までに、主催する第21回「にっぽんの温泉100選」(観光関連9団体後援、トラベルジャーナル社協賛)の中間集計をまとめた。それによると、4年連続して1位の草津温泉(群馬)がトップの座を確保、5年連続に王手をかけ、強さを見せつけている。以下、登別(北海道)、由布院(大分)、黒川(熊本)、指宿(鹿児島)と続く。しかし、草津とそれ以下の温泉地との得票差はそれほど開いておらず、今後の投票次第では順位の変動もありそうだ。投票は10月末に締め切られ、最終順位は12月初旬に開かれる予定の100選実行委員会で決まる。 昨年、第20回という節目を機に、配布先を大幅に拡大したが、今回も配布先の拡大に努め、第20回を上回る枚数を関係機関に配布した。投票は7月から始めており、中間発表は事務局(本社)に届いた投票はがきを集計した。昨年は8千枚程度だったが、今回はすでに1万枚近くのはがきが集まっている。 1位となった草津温泉は泉質の良さに加え「湯畑」を中心とした温泉情緒や充実した宿泊施設、白根山や湯釜といった観光スポットも多くあり、旅行会社にとっては消費者に勧めやすく、送客しやすい点が評価されたと思われる。 ベストテンを見ると、上位5位に大きな変化はない。登別と由布院の2位争いも激しい。それ以下では前回10位だった有馬(兵庫)が6位、11位だった城崎(同)が7位となり、ベストテン入りなるかが注目される。前回9位の下呂(岐阜)が11位とランクを落としており、今後どこまで巻き返すか。 一方、14位だった鬼怒川・川治(栃木)、15位だった高山(岐阜)がランクを下げ、それぞれ29位、90位となった。高山は100選に残れるかどうかぎりぎりの線だ。 中間段階で新たに100選にランクインしたのは、法師(群馬)、観音(静岡)、青根(宮城)、阿蘇(熊本)、熱川(静岡)、白金(北海道)など19温泉地。法師はいきなり67位にランクインした。秘湯ならではの良さが支持されたと見られる。 今後の投票いかんで順位の大幅な変動も予想される。1位の草津とても油断はできない。 なお、実行委員会は日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟、全国旅館生活衛生同業組合連合会、日本温泉協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光協会、国際観光振興機構、財団法人日本交通公社から選ばれたメンバーで構成される。
「癒しとアンチエイジングの郷推進協議会」(愛知県蒲郡市、小澤秀雄会長)は、05年度から07年度の3カ年計画で、健康をテーマに新産業創出を目指したアンチエイジング(抗加齢)事業を推進している。同事業の一環で現在、「蒲郡みかん型癒しのコミュニケーションロボット」の開発が進められている。旅館などで観光客を対象にした「おもてなし」に対応可能なロボットの試作品が今年度中に完成する。 同協議会は05年10月に同市商工会議所など産学官で設立した。「住む人、訪れる人が若返るような街」を掲げ、(1)健康新繊維研究会(2)先端技術研究会(3)健康サービス産業研究会(4)健康食品研究会──などが医療と衣食住が融合した新しい健康産業の事業化、市場化に取り組む。このうち、先端技術研究会が、豊橋技術科学大学(豊橋市)の岡田美智男教授などの研究グループと共同でロボット開発を進めている。 開発中のロボットは2体のペアで、三河弁を話す会話機能を持つ。複数の人とのコミュニケーションが可能で、時候のあいさつなどの会話ができて見た目も癒されるデザイン。「2体のロボットとお客さんがコミュニケーションをとれるようなロボット」と同協議会。 旅館のロビーや観光施設などでこのロボットを活用する予定で、同市のマスコット・キャラクターとしてアピールしていく。 豊橋技術科学大学の岡田教授は「みかん型対話ロボット2、3台が一緒になってお客さんと会話をし、お客さん同士の交流の輪が広がってくれるきっかけとなってほしい」と話している。 ロボット開発以外の、アンチエイジング事業としては、健康サービス産業研究会が旅館、観光施設を中心に、健康と観光を掛け合わせた新しい健康サービスを研究している。
宮城県の鳴子温泉郷旅館組合と山形県・最上町の瀬見、赤倉両温泉の旅館組合は10月から、7つの温泉で利用できる「湯めぐりチケット」を発行する。来年開催の仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)のプレキャンペーンの一環。県境をまたいだ湯めぐりチケットの発行は全国的にも珍しく、各旅組ではDCを控え誘客に結び付けばと期待する。 10月1日から発行するのは「鳴子・最上湯めぐりチケット」。200円相当のシール6枚付きで、販売価格は1200円。有効期限は1年間。利用できるのは、温泉旅館、共同浴場など合わせ、赤倉温泉が10湯、瀬見温泉が4湯、鳴子温泉郷(鳴子、東鳴子、中山平、鬼首、川渡の各温泉)が58湯の計72湯だ。 温泉によって入浴料金(シール枚数)は異なるが、入湯料が一律500円の赤倉温泉では、シール2枚、400円で入浴でき、通常よりも割安。「グループや家族でシールを分け合えることも利点」(最上町観光協会)。 湯めぐりチケットは、鳴子温泉郷で9年前からスタート。年間約5千人が利用する。県境をはさみ隣接する赤倉、瀬見の両温泉でもこのチケットに参画しようと8年ほど検討してきた。今回、仙台・宮城DCに最上町も参画していることから話が進み、共同湯めぐりチケットの発行に至った。 最上町観光協会の伊藤和久氏は「これをきっかけに、この一帯の温泉を楽しみに来てくれる人が増えてくれれば」と観光客の増加を期待する。
南海電鉄(大阪市、亘信二社長)と高野山真言宗総本山金剛峯寺は、若い世代に対して、世界遺産に登録されている高野山の認知度を高める目的で、気軽に冥想や写経、精進料理を体験できる「高野山カフェ」を9月11日から16日まで都内で期間限定でオープンした。若い女性らでにぎわった。 オープンに先立ち、カフェが開かれる期間中の無事を祈願する儀式「開眼作法」の披露も10日に行われた。あいさつで、高野山真言宗総本山金剛峯寺の薮邦彦宗務総長公室課長が「最近の参拝客はマイカーや大型バスで来る人が多くなった」と述べた上で、「高野山の山頂が渋滞する問題がある」と指摘した。「高野山は心を静める精神の場であるので、四季を味わえる電車の旅も良い。南海電鉄に乗って来てくれれば」とPRした。 高野山カフェは期間中、女性向けに高野豆腐などのヘルシーな食材を使ったイタリア風精進料理「高野山精進ランチ」や、高野山ごま豆腐をアレンジしたデザートをメニュー化にした。