外国人に対する入国審査が11月から強化される。入国申請時に指紋や顔写真の提供を受け、その後、入国審査官の審査を受けることになる。指紋採取などについては反発も予想されることから、法務省は中国や韓国など入国が特に多い国・地域へ職員を派遣、現地で政府機関や旅行会社などに対し、説明会を開いている。「テロの未然防止」(入国管理局総務課)だが、訪日外客増加に取り組んでいる中、規制強化の影響を懸念する声もある。 改正入管法は5月に公布され、11月23日までに施行される。04年に政府が策定した「テロの未然防止に関する行動計画」に基づく。個人識別情報の提供義務化が大きな変更点だ。 外国人は空港などでの入国審査の際、審査官に旅券、ED(出入国)カードを提出。両手の人差し指を指紋の読み取り機の上に置いてもらい、センサーで指紋を読み取る。同時に、読み取り機の上部にあるカメラで顔写真を撮影、その後審査官が質問することになる。 (1)特別永住者(2)16歳未満(3)外交、公用での来日(4)国の招へい者──などは免除される。指紋または顔写真の提供を拒否すれば入国は許可されず、退去を命じられる。「個人識別情報を利用して、別人の旅券を使っている人やテロリストなどの要注意人物を見つけることが可能となり、テロの未然防止に役立つ」と同省は強調。 指紋採取などは外国人の反発も予想されることから、同省は日本への入国が特に多い韓国、台湾、中国、香港へ職員を派遣、旅行会社や政府機関、報道機関向けに説明会を開き、理解を求めている。すでに中国、香港、韓国は済ませ、今月末には台湾で行う。また、18日には同省で約180カ国に及ぶ在京大使館、領事館関係者を集め説明会を開く方針だ。 今回の規制強化について、大手旅行会社は「マイナス要因であることは確か。指紋採取を嫌がる人も出そうで、審査窓口も当分は混乱するのではないか」と見る。 訪日外客増加に取り組んでいるVJC実施本部の森山明事務局長は、初めての制度導入であることから「(訪日外客に対する)影響は正直図りづらい。感情面からすればマイナス要因となる。半面、テロ対策を強化することは、日本に来る旅行者の安全を確保することにもなるのだが」と戸惑いを隠さない。 同実施本部はJNTOと連携し、海外に向け、改正入管法施行の周知に向け取り組む意向だ。
国土交通省は12日、ニューツーリズム旅行商品の創出を促す実証事業で、全国の応募の中から47事業を採択した。各地域が実施するモニターツアーを支援。温泉や地場食材を使ったヘルスツーリズム、自然を生かしたエコツーリズムなど多彩な事業を選定した。 地域の観光資源を生かした特色ある企画が目立つ。ヘルスツーリズム関連では、若返りや老化予防をテーマにした長野県飯山地域の「アンチエイジングツアー」、メタボリックシンドロームに対処する和歌山県白浜・川湯地域の「世界遺産で男をみがく健康増進プログラム」、体脂肪率を減らす体験などを盛り込む鳥取県皆生地域の「スリミングステイ〜3%美しくなる旅」など。 エコ、グリーンツーリズムでは、自然環境保全を考える山梨県精進湖地域の「『精進湖富士登山道』の再生モニターツアー」、有機農業が体験できる新潟県妙高地域の「体験!自然再生と循環型農業」などを採択。 バリアフリー旅行の確立を目指して、岐阜県高山地域が実施するユニバーサルツーリズムのモニターツアーなども選ばれている。 実証事業では、モニターツアーでのアンケート集計や意見交換会、パンフレット作成、二次交通の試験運行などにかかる費用を補助する。