新潟県観光協会は9月18日、東京のホテルメトロポリタンで旅行業者対象の観光プレゼンテーションを開き、JRのデスティネーションキャンペーン(DC)など観光関連のイベントや話題が集中する2年後の09年を「新潟大観光交流年」として、震災からの復興キャンペーンに続く新たな施策を打ち出す方針を示した。
09年はJRのDCが10~12月に展開されるほか、NHK大河ドラマで同県を舞台とする歴史小説「天地人」が放映。第64回国民体育大会「トキめき新潟国体」も開催される。
県ではこれらの話題が集中する09年を「挑戦の年」と位置付け、民間と連携を図りながら誘客促進を図る。この10月には大観光交流年の推進協議会を設立する。
新潟県の観光客数は、中越地震が発生した04年に前年比9・3%減の6613万3千人と、大きく落ち込んだ。その後は四季ごとの復興キャンペーンの成果もあり、05年に6891万9千人、06年に7205万9千人と徐々に回復。08年に震災前の03年の数値(7356万7千人)に戻す目標を掲げていた。ただ、今年は中越沖地震の発生で再び厳しい状況に追い込まれている。
四季ごとに展開中の復興キャンペーンは、10月から食に焦点を当てた秋季キャンペーン「にいがた大収穫祭」を展開。その後は冬季キャンペーン「新潟あったかSNOW王国」(12月〜3月)、春季キャンペーン「にいがた花物語」(3~6月)を展開する。
このほか県では、日光国立公園からこの夏、独立した尾瀬国立公園の新潟県側からの入山コースと、ユネスコの世界遺産登録を目指す佐渡鉱山を注目の観光エリアとして紹介した。
「安心して送客を」泉田知事がアピール
新潟県の観光プレゼンテーションには泉田裕彦知事=写真=が参加し、中越沖地震の発生に伴う柏崎刈羽原子力発電所の放射能漏れ事故について、「人や自然に全く影響はない。安心してお客さまを送ってほしい」とアピール。風評被害の払しょくに努めた。
泉田知事は、「原発の被災であらぬ風評被害を受けた。地震の被害を受けていない観光地が多いにもかかわらず、観光客は4割程度落ち込み、被災地に近いところは9割減になった」と風評による深刻な被害状況を説明。「海水に漏れた放射能はラドン温泉9㍑分で、魚や野菜からは放射性物質が検出されていない」と、放射能漏れの自然界への影響が全くない点を強調し、送客面での理解を求めた。
来賓で出席した国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官は、「風評被害は長引くかもしれないが、地元が一丸となり対応することが重要。泉田知事はじめ、新潟の皆さまが震災直後からキャンペーンをやってこられたことは時宜を得たもので、敬意を表する」と被害からの復興にエールを送った。日本旅行業協会の梅田春実理事長、JR東日本の見並陽一常務も同県を応援するメッセージを送った。 |