訪日動機のトップは「ショッピング」──国際観光振興機構(JNTO)がまとめた06年度の外国人観光客に関する調査でこんな結果が出た。これまで「伝統文化・歴史的施設」や「温泉・リラックス」が上位を占めていたが、ショッピングが初めて1位になった。アジアからの旅行者の所得が上がったことや日本カルチャーのブームにより関連商品を求める動きが強まっていることなどが要因とみられる。 調査は06年7月〜07年3月に、国内主要8空港と博多港の出国待合室で実施。1万3891人から回答を得た。 外国人旅行者のうち観光客(42.8%)に絞り、訪日動機(複数回答)をきいた。1位のショッピングを挙げた人は34.8%で、2位の伝統文化・歴史的施設の32.4%、3位の温泉・リラックスの32.1%を初めて上回った。 地域別では、アジアからの観光客はショッピングや温泉、欧米人は伝統文化や「日本人とその生活」に関心が高い傾向にある。 外国人旅行者全体の訪問先を見ると、1位が東京都の57.4%で、以下、大阪府の23.7%、京都府の20.3%が続く。1〜9位までの顔ぶれは過去3年変わっていない。 一方、ブロック別訪問率では、関東がやや減少(前年度比0.9%減)したが、北海道が同0.8%増、東北が同0.7%増となり、「地方への分散傾向が見られる」とJNTO。 観光客の旅行形態は団体旅行が39.1%、個人旅行が60.5%となり、個人旅行の割合が高くなっている。米国、英国では個人旅行比率が8〜9割と極めて高いが、中国や台湾では逆に団体旅行の比率が6〜8割に達している。 また、リピーターが占める割合は47.5%と約半数に上った。初訪日の比率が高いのは中国で、84.4%だった。英(80.9%)、仏(66.0%)も高い。リピーター率が高いのは香港(75.0%)や台湾(68.5%)など。
国際観光振興機構(JNTO)によると、8月の訪日外客数は前年同月比15.7%増の75万8千人となり、8月単月では初の70万人台を突破した。韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール、ドイツ、フランスからの訪日客が過去最高を記録するなど好調に推移している。 市場別に見ると、韓国は23.2%増の27万1千人を記録。「VJC観光親善大使の歌手ユンナさんを起用したテレビCMなどが訪日客増に結びついた」とJNTO。 台湾は5.6%増の11万8600人。台湾と石垣島、那覇を結ぶクルーズ船「スーパースター・リブラ」の運航が7月から再開され、8月に数千人が乗船、訪日客増に貢献した。 中国も23.0%増の9万9800人となり、台湾に迫る勢いを見せている。中国の株高、不動産価格上昇の恩恵を受け、富裕層だけでなく、中間層の間でも日本を含めた海外旅行の需要が高まっている。 香港は36.0%増の4万800人で訪日客が初めて4万人台に達した。香港から日本各地へチャーター便72便が運航され、訪日客増に結びついた。 一方、米国は0.6%減の6万2900人。航空座席供給量が減少したものの、訪日客は前年並みを維持。英国は4.3%増の1万8200人で、8月単月では過去最高を記録した。ドイツは9.7%増の9200人。 フランスは21.8%増の1万2300人で大幅に伸びた。JNTOによると、「『ミシュラン』などのフランス語版日本旅行ガイドブックの発行がフランス人訪日客の増加の原因と見られる」。 その他、タイでは割安な航空料金を設定した低価格の訪日ツアーが出回り、45.2%増の9700人、シンガポールが25.4%増の7千人などとなっている。 出国日本人数は0.4%減の169万8千人で4カ月連続減。「若年層の出国減などが全体の減少に影響した」(JNTO)。
日本に入国する外国人に指紋採取などを義務づける改正入管法が、11月20日から施行される。テロ対策の1つで、拒否した場合、入国が認められず、退去を命じられる。訪日外客増に取り組んでいる中、規制強化の影響を懸念する声もある。 外国人は空港などでの入国審査の際、審査官に旅券、ED(出入国)カードを提出。両手の人差し指を指紋の読み取り装置の上に置いてもらい、センサーで指紋を読み取る。同時に、読み取り機の上部にあるカメラで顔写真を撮影、その後審査官が質問する形になる。 (1)在日韓国・朝鮮人ら特別永住者(2)16歳未満(3)外交、公用での来日──などは免除される。 指紋採取などは外国人の反発も予想され、日弁連や人権団体は「プライバシーが侵害される」として反対している。観光業界では「マイナス要因となる。指紋採取を嫌がる人も出そうで、審査窓口も当分、混乱するのではないか」「テロ対策を強化することは日本に来る旅行者の安全を確保することにもなる」との見方があり、影響を図りかねているのが実情だ。