観光振興のけん引役を求める地域と、知識や経験を地域に生かしたい人材とを橋渡しする国土交通省の観光地域プロデューサー事業で、モデル地域5カ所のプロデューサーがそれぞれに決まり、今月から各地域で活動を始めた。5人のプロデューサーは、旅行会社OB、大学の名誉教授、20代の女性アートデザイナーなど多彩な顔ぶれで、職務に賭ける思いもさまざまなものがある。自治体や観光協会などに所属し、地域観光の活性化に腕をふるう。 今年度からの新規事業で、プロデューサーには全国から78人の応募があった。書類選考、5日間にわたる研修会などを経て、モデル地域と有識者でつくる事業検討委員会(座長=大西隆・東京大学先端科学技術研究センター教授)が5人を選定。プロデューサーは各地域の所属先と2年前後の雇用契約を交わした。 富山県立山町のプロデューサーには、今年春に名鉄観光サービスを定年退職、現在は愛知産業大学で観光論の非常勤講師なども務める井野和英さん(61)が決まった。来年の東海北陸自動車道の全線開通を生かした誘客などに、豊富な経験と知識が期待される。 井野さんは「旅行業に長年従事してきたが、着地のビジネスの側、観光地の側から、もう一度観光を捉え直してみたかった。売れる旅行商品を造り、リピーターを増やしたい」と意気込む。配属先は町観光協会で、愛知県岡崎市から現地に赴任した。 山梨県富士河口湖町には、山梨大学名誉教授の花岡利幸さん(66)。観光やまちづくりに関する実践的な研究を多数手がけ、過去にも同町のまちづくりに参画した経験がある。町観光課に席を置き、週2日勤務する。 花岡さんは「学者としてこれまでも地域密着で研究に取り組んではきたが、服の上からかゆい所をかくような部分もあった。今回の機会を生かし、本当にかゆい所に手を伸ばしてみたい」と語り、地域に入り込んだ活動に熱意を示した。 静岡県伊豆の国市は、観光やまちづくり以外の分野から若い人材を起用。編集デザインなどを手がける木村美穂さん(27)を選んだ。配属先の観光協会では「ビジュアル(視覚的)の部分を基点に観光地をデザインする能力に期待した。歴史ある観光地ゆえに古い意識もある。自由な発想で新しい風を吹き込んでほしい」と語る。 木村さんは「デザイナーとして培った本質や価値を見極める力を生かしたい。観光資源はたくさんある。どうデザインし、どう発信していくか、地域の方とともに考えていきたい」と笑顔をみせた。 このほか千葉県富津市は、地域おこしなどに実績を持つコンサルタント会社の代表、北海道岩見沢市の島田昌幸さん(24)。東京都台東区は、長年にわたり旅行業に従事してきた神奈川県川崎市の鈴木英雄さん(61)に決まった。
国土交通省はこのほど、来年度予算の概算要求について、各省庁にまたがる観光に関連する予算を集計した。観光振興や交通基盤整備のほか、文化資源の活用、国際交流などの事業を含めた観光関連の概算要求合計は、今年度予算比364億円増の2510億円となった。 観光立国推進基本計画に掲げた施策のテーマ別に内訳をみると、「国際競争力の高い魅力ある観光地の形成」に関する要求額が同223億円増の1586億円、「観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成」が同1億4千万円増の2億8千万円、「国際観光の振興」が同93億円増の618億円、「観光旅行の促進のための環境の整備」が同47億円増の280億円。 国交省以外の主な予算では、経済産業省の広域・総合観光集客サービス支援事業3億9千万円、農林水産省の日本食・日本食材等の海外への情報発信5億円、文化庁の特別史跡平城宮跡整備7億1千万円、文部科学省のアジア地区スポーツ交流事業3億5千万円、環境省のエコツーリズム総合推進事業費1億8千万円など。
政府の観光立国推進戦略会議(座長=牛尾治朗・ウシオ電機会長)が1日、来年7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の会場となるザ・ウィンザーホテル洞爺で開かれた。サミットを契機とした外国人旅行者の誘致など北海道観光の活性化について討議。11月に首相官邸で開かれる次回会合では、今回の検討を基に、具体的な振興策を盛り込んだ緊急提言をまとめる。 戦略会議は今回で10回目だが、官邸以外で開かれるのは初めて。戦略会議メンバーだけでなく、高橋はるみ・北海道知事、南山英雄・北海道経済連合会会長ら地元関係者も出席した。 議題は「サミットを契機とした北海道・日本の魅力の世界への発信および観光振興」。海外へのプロモーションや外国人観光客の受け入れ態勢整備などについて課題や施策を検討した。 北海道では今年6月、高橋知事を会長とする「北海道洞爺湖サミット道民会議」を設置。事業計画には、北海道観光の魅力発信、観光ホスピタリティの向上、外国人観光客への案内態勢の整備などを盛り込んでいる。 戦略会議は次回会合で、洞爺湖サミットを活用した北海道観光の振興に向けて、施策や役割分担などを具体化したアクションプログラムを緊急提言の形でまとめる考えだ。
冬柴鐵三国土交通・観光立国担当相は4日、今月15日に東京で開催される第47回ミス・インターナショナル世界大会に出場する各国・地域代表約60人の表敬訪問を受けた。冬柴大臣は「美しい方々に囲まれ、お花畑に舞い込んだような気持ち」と笑顔が絶えなかった。 冬柴大臣は、ミスの代表らが訪問予定の京都や横浜の見所を紹介した上で「日本の魅力を堪能して頂きたい。同時に、みなさんの国の素晴らしさを伝えてほしい」とあいさつ。昨年のミス・インターナショナル、ベネズエラ代表のダニエラ・ディ・ジャコモさんからは花束を贈られた。 世界大会は、国際文化協会の主催で、日本開催が恒例となっている。スローガンに「相互理解を通じた世界平和の実現」「国際社会での日本の正しい理解」を掲げている。
国土交通省は今年6月の国土交通月例経済を発表した。主な動向は次の通り。 【鉄道旅客輸送】 JR旅客6社の輸送実績は、前年同月比2.8%増の7億5329万4千人。このうち新幹線旅客(3社)は5.3%増の2226万8千人で、前年同月比で9カ月連続の増加。一方、民鉄の合計は2.9%増の11億8346万2千人だった。 【航空旅客輸送】 国内線9社は、1.2%減の753万3千人。このうち幹線は1.5%減の300万人、ローカル線は1.0%減の453万3千人。一方、国際線(3社)は0.1%増の144万7千人だった。7月の速報値は、国内線が4.6%減の772万5千人で4カ月連続のマイナス。このうち幹線が2.5%減の311万6千人、ローカル線は6.0%減の460万9千人。一方、国際線は、1.7%増の155万2千人で、2カ月連続のプラスだった。 【フェリー輸送】 長距離フェリー21航路の全旅客数は、3.4%増の20万4千人。 【出入国】 出国日本人数は、3.3%減の137万9千人。7月の速報値は0.2%減の144万5千人で、3カ月連続のマイナス。訪日外客数は、13.5%増の63万2千人。7月の速報値は15.4%増の80万9千人。 【ホテル】 東京都内主要15ホテルの客室稼働率は、2.4ポイント減の71.6%。7月の速報値は0.6ポイント減の72.5%で13カ月連続の減少だった。