国土交通省は19日、貸切バスの安全性や質の向上に向けた方策をまとめた。貸切バス事業者、旅行業者らがつくる「貸切バスに関する安全等対策検討会」での議論をうけてのもの。今後、旅行業者と貸切バス事業者の意見交換を積極的に行い、バス事業に関する旅行業者の理解、認識の向上を図るほか、事故報告書に旅行業者の名前を明記し、旅行業者への旅行法上の立ち入り検査などを可能にする。
同検討会は2月に大阪府吹田市で発生した「あずみ野観光バス」による事故を契機に、国交省が設置。アンケート調査などからバス事業者や旅行業者、労働者の実状をまとめ、6〜10月にかけて、問題点の洗い出しとその解決法を検討した。
検討会では特に、貸切バス事業者の取り扱う運送業務の約8割が旅行業者からの依頼によるものである一方で、貸切バスの安全規制などについて旅行業者の認識が低いことやバス事業者に提示する運賃の低さなどが問題視されていた。
報告は(1)運転時の安全確保(2)貸切バス事業者の質の向上(3)貸切バス業界と旅行業界の連携、協力のあり方──の3つの観点から問題点を整理、それぞれ対応策とその実施時期を示した。
(1)に関しては、長距離運転の場合の交代運転手の配置基準を検討するほか、自動車事故報告書へ旅行業者名を記載し事故責任を明確化、旅行業法上の立ち入り検査などの対応ができる環境の整備を年度内に行う。また、駐停車禁止場所での乗降禁止の徹底もバス事業者、旅行業者双方に速やかに徹底させる。
(2)に関しては、1、2年以内に貸切バス事業者の評価制度導入を検討する。また年度内に「ツアーバス連絡協議会(仮称)」を設置し、安全性向上のための事業者間や行政と事業者の連携を強化する。
(3)については、1、2年以内にツアーバス向けの標準的運行モデルなどを作成するほか、旅行業者とバス事業者が連携して「安全運行パートナーシップ(仮称)」を作成する。また両業界の相互理解などを図るための協議会を設置する。 |