国民生活金融公庫はこのほど、全国小企業動向調査の今年7〜9月分の結果を公表した。それによると、同期の小企業の業況判断DI(「よい」とする企業割合から「悪い」とする企業割合を引いた値)はマイナス42.9で、前回調査(今年4〜6月期)に比べ4.2ポイント低下した。飲食店・宿泊業など2業種を除く6業種で低下した。公庫では「小企業の景況は改善の動きに足元かげりがみられる」としている。
調査は9月10日、同公庫取引先の小企業1万617社に行った。有効回答数は7524社で、回答率70.9%。
業況判断を業種別にみると、飲食店・宿泊業が前期を8.5ポイント上回るマイナス35.6を記録。このほか運輸業が前期比8.0ポイント増のマイナス28.0。この2業種が前期比上昇した。ただ、その他の6業種(製造業、卸売業、小売業、サービス業、情報通信業、建設業)は低下した。
飲食店・宿泊業のうち「旅館等」の業況判断DIはマイナス23.3で、前期比18.4ポイントの大幅増だった。「旅館等」のDIは昨年7〜9月期からマイナス29.2、マイナス30.3、マイナス34.8、マイナス41.7、マイナス23.3。減少が続いていたが、今期は盛り返した。今年10〜12月期の見通しは今期比15.0ポイント悪化のマイナス38.3。
地域別では北海道、東北の2地域でDIが上昇、その他の7地域で低下した。最も伸びたのは北海道の3.6ポイント増(DI値40.8)。DI値が最も高いのは東京・南関東のマイナス36.7(前期比6.4ポイント減)。逆に、最も減少したのは東海の8.6ポイント減(DI値マイナス42.6)。DI値が最も低いのは四国のマイナス52.1。
全業種の売上DI(「増加」とする企業割合から「減少」とする企業割合を引いた値)はマイナス29.1で、前期比3.3ポイント低下した。
採算DI(「黒字」とする企業割合から「赤字」とする企業割合を引いた値)はマイナス25.4で、前期比4.4ポイント低下した。前年同期比では5.2ポイント低下した。採算DIが前年同期を下回るのは2期連続。
当面の経営上の問題点は、「売上不振」が1位で、回答率50.8%。以下、「利益減少」(25.0%)、「求人難」(6.6%)、「設備老朽化等」(6.2%)が続く。 |