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トラベル ■第2444号《2007年11月10日(土)発行》  

色弱者見すえたカラーユニバーサルデザイン化、対応遅れる観光業界
JALツのCUDパンフ。下線を引くことなどで注意を喚起


 バリアフリー(BF)新法の施行や高齢者への配慮から、標識や交通機関、宿泊施設などでのBF化が進んでいる。半面、社会的認知度が低いためか対応が遅れているBFの領域がある。色盲や色弱と称されている、色の識別に困難を伴う人への対応だ。このような人は日本国内に300万人以上、白内障などの疾病による色弱者を含めるとその規模はさらに大きくなる。これらの人を含め、できるだけ多くの人が必要な情報を正しく得ることができるよう配慮したデザインがある。「カラーユニバーサルデザイン」(CUD)だ。色弱者の利便性向上のため、CUDに取り組む企業が出てきているが、観光業界での対応は遅れ気味だ。

色弱人口2億人
 色弱者はアジア系の人では日本人と同じく、女性の500人に1人、男性の20人に1人が、フランスや北欧系の人の場合、男性の10人に1人いるとされ、世界全体では65億人中約2億人が色弱とされる。外客誘致の観点からも、CUD対応による色弱者の利便性向上は観光業界にとって避けて通れない問題だ。

 JALツアーズはこの下期から、CUDに対応したパンフレット作りに取り組む。「なるべくすべての人に、伝えたい情報が伝わるようにするのが目的」(マーケティング部)。パンフレットは、従来通り、1つの商品ブランドで地域別に1冊と変わらない。「誰もが同じように利用できる」というのがユニバーサルデザインの考え方であるからだ。

 使用する文字色やフォント、強調の仕方を工夫し、色に頼らないパンフレットづくりを進める。例えば、価格や注意点など、従来は文字色を赤色にするなど色だけで強調していた部分を、アンダーラインを併用するなどした。同社ではCUD化のためのガイドラインを作成、パンフレット作成部署に配布し、対応を図っている。今後は商品チラシや同社のホームページ(HP)でも、CUD化を進める方針だ。

 旅行会社で全社的にCUDへの取り組みを行ったのはJALツアーズが初めて。CUDという言葉すら知らないという旅行会社が多い上、「作成するパンフレットは膨大な量。パンフレットを作るたびに、特別仕様のものは作れない」と指摘する旅行会社もあり、CUDについての理解不足は否めない。

 宿泊業も対応が進んでいるとはいえない。88年からBF化に積極的に取り組んでいる京王プラザホテルにしても「社内で検討を始めたところ」と具体的な取り組みには結びついていない状況だ。

 観光関連業界に目を向けると、すでにCUDを取り入れている企業がある。地図や観光地のガイドブックなどで知られる昭文社は、06年にCUDに対応。電子地図ソフト「スーパーマップルデジタル」などでCUDに対応した文字の標記や色調を取り入れる。

 東京メトロは都印刷業組合墨田支部が作成したCUDに基づく地下鉄路線図の技術を採用。各駅に配置した「視覚配慮料金表」で、CUDを取り入れている。「施設のBF化も含め、銀座駅などから順次対応を図っている」という。

自治体も関心
 CUDの普及活動を行っている、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)によると、現在相談で多いのは、企業がステークホルダーに対して発表する「CSR(企業の社会的責任)報告書」のCUD化だという。「顧客や株主にも様々なアイデンティティの人がいるというという認識に立ってのことだろう」と伊藤啓副理事長はみる。

 自治体でも、静岡県や神奈川県はCUDに絞ったガイドラインを策定している。旅行業界以外では、少しずつだが着実に取り組みが浸透しているようだ。

 ウェブサイトについてみると、熊本県や新潟県をはじめ多くの都道府県が、ウェブサイトの作成ガイドラインを制定、CUDを含め、利便性の向上を進めている。滋賀県近江八幡市や京都府宇治市などでは、ウィンドウを通してHPの色調を変えたり、拡大表示などができるソフトを導入、高齢者など幅広い色弱者への配慮を試みている。

IT対応進まず
 半面、旅行業者や宿泊施設、観光協会などのウェブサイトは、旅行関連情報の最初の窓口となりつつあるにもかかわらず、CUDに配慮したページは少ない。

 05年6月に国土交通省が出した「観光活性化標識ガイドライン」には「高齢者や弱視者、色覚障害者に配慮して、『青と黒』、『黄と白』及び『赤と緑』等の見づらい色の組み合わせは用いない」と明記されている。これは標識に関するものだが、印刷物やウェブサイトについてもいえることだろう。

 JALツアーズの取り組みのように、強調部分の文字色やフォントの大きさなどをマニュアル化し、パンフレットやウェブサイト作成の際にはそのルールにのっとるだけで、簡単にCUDへの第一歩を踏み出すことができる。

 個人旅行の多様化、ネットエージェントを利用する消費者の拡大が進む中、各旅行業者はニッチ需要やアクティブシニア需要の獲得に励む。だが、これらの層と比較しても、色弱をはじめとするハンディキャップを抱える人々や高齢者は看過できない規模だ。交流人口の拡大が叫ばれる今、観光業界でもCUDへの対応が求められそうだ。

▼バリアフリーとユニバーサルデザイン
 バリアフリーは高齢者や障害者などの生活弱者が、社会生活を営む上で障壁となるような物理的・精神的障害を取り除くことを指す。ユニバーサルデザインは障害や年齢を含め、文化や言語、性別などあらゆる違いに関係なく誰もが同じように利用できるようなものづくりを指す。バリアフリーの発展形とされる。



訪日外客向け旅行サイト、韓国語版を開設 JTB

 JTBは、4月18日に立ち上げた訪日外国人向けの旅行サイト「JAPANiCAN.com(ジャパニカンドットコム)」の英語版に加え、韓国語版を11月5日に開設した。韓国人の個人旅行を対象としたオンライン販売を行っていく。

 韓国語版ジャパニカンドットコム(http://www.japanican.co.kr)では、約1600の宿泊施設や、訪日外国人向けブランド「サンライズツアー」の韓国語ガイドテープ付きツアーの予約を受け付ける。観光・イベント情報も提供していく。

 06年の訪日韓国人数は初めて200万人を超え、訪日外国人数全体で28.9%を占め、国・地域別訪日外客数で8年連続首位。

 JTBでは「韓国人のインターネット利用率は極めて高く、クレジットカード利用率も高いことから今後、旅行商品でもインターネット販売の急速な伸びが予想される」として、初年度(07年11月〜08年3月)に約4500万円の販売を見込む。

 また、韓国語サイトの開設に合わせて、ジャパニカンドットコムに参画する宿泊施設に英語、韓国語、中国語による電話通訳サポートサービスの提供も開始する。



KNT、韓国・江原道と提携
固く握手を交わす金知事(左)と越智常務


 KNTは1日、韓国の江原道(カンウォンド、金振知事)と来年の日本人観光客誘致増大に関する業務協約を結んだ。同社が韓国の地方自治体と業務提携を結ぶのは初めて。チャーター機を3回設定するほか、専用商品の造成などにより、08年内に1万人の送客を目指す。

 金知事は「05年の(韓国映画)『四月の雪』での日本人客誘致でも、KNTは2500人の送客を実現している。1万人の送客のために、道としても最善の協力を行う」とし、KNTによる送客に対して着陸料や空港使用料などの費用を道が負担する意向を示した。これに対しKNTの越智良典常務は、「(KNTの韓国への送客数は)4月以降、前年比30%以上の伸びを示している」と話し、送客増へ意欲をみせた。

 KNTは、江原道の襄陽(ヤンヤン)国際空港を利用したチャーター機を3便設定し、江陵端午祭などのイベントに合わせた商品造成と送客を行うほか、韓国の国内便を利用した、釜山〜江原道をまわる新商品を展開する。また現在、日本人観光客の8、9割がソウルを目的地としていることから、ソウル滞在の日本人客が江原道を回れる日帰りシャトルバスの運行も行う。

 KNTは07年、韓国観光公社と15万人キャンペーンを実施、すでに14万人以上を送客しており年内に目標を達成できる見込み。「(来年以降)韓国全体への送客から各地域へと力点をシフトし、継続的に観光資源の深堀りを進めたい」(越智常務)。



浪速のカリスマ添乗員が同行するツアー発売 日本旅行

 日本旅行はこのほど、「ナニワのカリスマ添乗員」として関西で人気の同社社員平田進也氏と寺田一義氏が添乗する、東京発山梨方面のバスツアー「笑いっぱなしの2日間」を発売した。プロ顔負けの巧みな話術とサービス精神を武器に"大阪のおばちゃん"をとりこにする2人がついに東京進出。関西で人気のスタイルをそのままに、往復の車中や宴会時に"コテコテの平田節"をさく裂させる。

 11月29日限定出発の1泊2日。大月・笹一酒造、恵林寺、河口湖、御殿場アウトレットなど山梨の見所を巡る。宿泊は石和温泉の華やぎの章慶山。道中に"サプライズ"も用意している。料金はひとり1万9800円から。募集80人。



主要13社9月営業実績

 鉄道旅客協会は6日までに、加盟旅行業13社の今年9月の取扱額をまとめた。それによると、総取扱額は前年同月比2.6%増の3307億1317万円だった。8社が前年同月を上回った。

 国内旅行は5.9%増の1908億5328万円で、2カ月連続増。9社が前年を上回り、中でもJTBは16.3%増とただ1社2ケタ増を記録した。2ケタ減は日本通運のみで、国内旅行は総じて好調と言えそうだ。

 海外旅行は前月に続きダウン。2.9%減の1328億4315万円となった。6社が前年割れで、うち3社が2ケタ減に。海外に強い阪急交通社も2.6%減と苦戦した。

 外人旅行は8月の減少から一転、54.2%増の58億9533万円と好調に推移した。1社を除いき各社取り扱いを伸ばしており、東武トラベルは前年同月の4倍強を取り扱った

 この結果、4月からの累計は総取扱額で前年同期並みの1兆9048億8587万円を確保。この時点で前年実績を上回っているのは阪急交通社やJTBトラベランドなど4社のみ。

 うち、国内旅行は1.8%増の1兆1442億2023万円、海外旅行は3.4%減の7243億468万円、外人旅行は23.1%増の274億3128万円となっている。


国土交通月例経済7月分
 国土交通省は今年7月の国土交通月例経済を発表した。主な動向は次の通り。

【鉄道旅客輸送】
JR旅客6社の輸送実績は、前年同月比2.2%増の7億6641万7千人。このうち新幹線旅客(3社)は3.5%増の3053万6千人で、前年同月比は10カ月連続のプラス。一方、民鉄の合計は3.0%増の11億6250万9千人だった。

【航空旅客輸送】
国内線9社は、4.7%減の771万5千人。このうち幹線は2.5%減の311万5千人、ローカル線は6.2%減の460万1千人。一方、国際線(3社)は1.7%増の155万2千人だった。8月の速報値は、国内線が0.9%減の925万9千人で5カ月連続のマイナス。このうち幹線が0.9%増の361万4千人、ローカル線は2.0%減の564万5千人。一方、国際線は、2.0%増の163万8千人で、3カ月連続のプラスだった。

【フェリー輸送】
長距離フェリー21航路の全旅客数は、6.4%減の27万5千人。

【出入国】
出国日本人数は、0.2%減の144万5千人。8月の速報値は0.4%減の169万8千人で、4カ月連続のマイナス。訪日外客数は、15.4%増の80万9千人。8月の速報値は15.7%増の75万8千人。

【ホテル】
東京都内主要15ホテルの客室稼働率は、0.8ポイント減の72.5%。8月の速報値は4.0ポイント減の70.7%で14カ月連続のマイナスだった。
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