国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官は6日、専門紙向けの定例会見で、中国からの少人数の訪日旅行に対する観光査証(ビザ)の発給実現に関して「さまざまなレベルで働きかけている。法務省が今月20日から指紋採取などを伴う新しい入国審査手続きを導入するが、外国人の入国管理などの環境が整えば、ビザの発給も条件が緩和しやすくなるのではないか。そうした流れも見ながら取り組みたい」とコメントした。 中国からの訪日客拡大では、「富裕層の受け入れが、すそ野を広げる意味でも、受け入れ側の期待の上でも重要」と指摘。ただ、少人数旅行者への観光査証発給は失踪者対策などの課題があり、実施されていない。「一度に大幅な変化は期待できないが、少しずつ実現に近づけたい」と語った。 訪日外客数の今年の見通しについては、「9月末までで前年対比13.7%増。残り3カ月が昨年の実績をわずかに下回って推移したとしても、800万人を超す数字は達成できる」との見通しを示した。 来年の目標数値では、「市場ごとに数字を積み上げて設定したい」として、国際観光振興機構(JNTO)の海外宣伝事務所などから努力目標を含めた数値を集計した上で設定すると説明した。 また、アメリカからの訪日客数が低調なことに関して、「ニューヨーク、ロサンゼルス、2カ所のJNTO事務所だけでカバーできるのか。レップ(マーケティング代行業)の活用なども選択肢の1つとして対策を考えたい」と述べた。