国民生活金融公庫はこのほど、旅館など生活衛生関係営業の景気動向等調査の今年7〜9月期分の結果を公表した。それによると、同期の売上、採算、業況の各DIはすべて前期からわずかに低下した。このうちホテル・旅館業は、売上DIが低下したものの、採算DIが上昇。業況DIは大幅に上昇した。同公庫では「生活衛生関係営業の景況は、マイナス水準ながら改善傾向を維持しているとみられる」としている。 調査は9月上旬、生活衛生関係営業3220企業に個別訪問面接方式で実施した。このうちホテル・旅館業は254企業に聞いた。 同期の売上DI(前年同期比で「増加」とする企業割合から「減少」とする企業割合を引いた値)はマイナス23.9で、前期比2.7ポイント低下した。このうちホテル・旅館業はマイナス7.5で前期比微減。3期連続の減少で、ここ1年で最も低い水準となっている。 同期の採算DI(当該期で「黒字」とする企業割合から「赤字」とする企業割合を引いた値)はマイナス6.8で、前期比3.4ポイント低下した。ホテル・旅館業はマイナス2.0で、前期から約8ポイント上昇。2期連続の上昇で、昨年10〜12月の水準に戻った。 同期の業況DI(前期比で「好転」とする企業割合から「悪化」とする企業割合を引いた値)はマイナス22.6で、前期比5.3ポイント低下した。ホテル・旅館業は3.1で、前期から10ポイント以上の大幅な上昇となった。2期連続の上昇で、昨年10〜12月期以来3期ぶりにDI値がプラスになった。 ホテル・旅館業の特徴的な業況判断理由は次の通り。 〔好転〕NHK大河ドラマ「風林火山」の影響もあり、夏季宿泊客が増加し稼働率が上昇し、売上は伸びたものの、食事等の材料の仕入れ価格上昇を宿泊費への転嫁が進まず、利益は低下している。(山梨県) 〔不変〕夏休みに入り、一時的に学生の団体客があったものの、以前に比べ素泊まり客が増加。宿泊客数は増えたが、売上、利益には貢献しなかった。(山口県) 〔悪化〕中越地震の放射能漏れによる風評被害で、7〜8月の学生の団体、親子連れの海水浴などの予約がすべてキャンセルされたため、売上は前年同期比50%減少にまで落ち込んだ。その後の予約も厳しい状況にある。(新潟県) 経営上の問題は「顧客数の減少」 同調査で経営上の問題点を複数回答で聞いたところ、ホテル・旅館業のトップは「顧客数の減少」で50.0%が回答した。以下、「客単価の低下」(36.6%)、「店舗施設の狭隘(きょうあい)・老朽化」(36.2%)、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」(26.4%)、「従業員の確保難」(13.4%) など。
帝国データバンクによると、外食産業の今年1〜10月の倒産件数は479件で、昨年1年間の443件をすでに上回っている。負債総額も554億9700万円で、昨年1年間の591億8千万円に迫る勢い。 倒産主因別にみると、販売不振などの不況型倒産が365件、構成比76.2%でトップ。業歴別では30年以上の老舗倒産が109件、構成比22.8と最も多い。