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旅館・ホテル ■第2454号《2008年2月2日(土)発行》
本社主催「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」に450人出席
広い会場は多くの出席者でうまった=1月25日、東京の浅草ビューホテルで
観光経済新聞社主催、観光関連9団体後援の07年度「人気温泉旅館ホテル250選」認定証授与式が1月25日、東京都台東区の浅草ビューホテルで開かれた。旅館・ホテルの経営者、来賓など約450人が出席。入選した旅館・ホテル250軒と、「にっぽんの温泉100選」で5年連続1位になった草津温泉(群馬県)に認定証などが授与された。多忙なスケジュールをぬって二階俊博・自民党総務会長が駆け付け、今秋の観光庁創設を踏まえて観光業界に自立と一層の奮起を求めた。国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官も出席し、観光立国の実現に受賞者の活躍を期待した。
式典では、主催者を代表して観光経済新聞社・江口恒明社長が「観光庁の創設が決まるなど観光業界の展望に明るい兆しが見えてきた。しかし、旅館の経営環境は依然厳しく、変革を求める社会の潮流も鮮明だ。だが、世の中が変わっても変えてはならないのが、旅館が持つ伝統文化、その原点である心。皆さまは、世界に、または後世に、“日本の心”を伝える代表者だ」と受賞者らを称えた。
250選に入った旅館・ホテルを代表して地域別に9人が登壇、江口社長から認定証を受け取った。温泉100選では、草津温泉を代表して草津温泉観光協会の宮崎範一会長がトロフィーを手にし、「温泉文化を守り、さらに磨きをかけ、今後も魅力ある温泉地づくりにまい進したい」と抱負を語った。
式典後のパーティーでは、国交省の本保総観審が「旅館は日本の文化、特に観光文化の華だ。旅館が強くならなければ、日本の観光は良くならない」と旅館の魅力向上に期待したほか、「観光庁では、他省庁、民間との人事交流などを通じて新たなDNAを入れ、中身のある新しい仕組みを立ち上げたい。観光立国の基盤が整いつつある中で、皆さまと良い結果を出せるようにする」と述べた。
続いて、あいさつに立った二階総務会長は「政府が観光に力を入れるようになってきたが、我々観光にかかわる人たちは、何かに頼るのではなく、自らの足できちんと立つことを考えるべき時期だ」と強調、「観光は地域活性化、国際平和のために重要だ。私も精一杯の努力をする。皆さまのお力添えをお願いしたい」と訴えた。
また、二階総務会長が代表を務める政策グループ「新しい波」の伊藤忠彦衆院議員が出席し、「観光庁などの仕組みを大いに活用し、日本の観光をともに飛躍させよう」と呼びかけた。
このほかにも多くの来賓が出席。日本観光協会の中村徹会長は「受賞者の方々には、地域の行政、経済界、市民とともに観光振興に取り組んでもらいたい。リーダーシップの発揮を期待する」とあいさつした。パーティーの乾杯の発声は国際観光旅館連盟の佐藤義正会長が、中締めのあいさつは立教大学の前田勇名誉教授が務めた。
祝電は、日本ツーリズム産業団体連合会、JTB、JTBトラベランド、近畿日本ツーリスト、日本旅行、トップツアー、クラブツーリズムなどから寄せられた。
人気温泉旅館ホテル250選は、旅行会社からの投票で選定する。今回は、前回を約3千枚上回る1万1652枚のハガキが寄せられた。1枚に5軒までの宿を記入でき、投票数はハガキ数の約3倍になった。初入選は13軒、通算で5回以上入選した「5つ星の宿」は203軒だった。毎年、にっぽんの温泉100選と同時開催している。
「観光業界は自立せよ」 二階氏 本社の姿勢高く評価
認定証授与式のパーティーに駆け付けた二階俊博・自民党総務会長は、観光立国の実現に向けて、関係者のさらなる努力に期待した。
以下にあいさつの要旨を紹介する。
「先ほどまで自民党の総務会を開いており、観光関係の法案を審議してきたが、こうした観光振興の問題が、日の目を見るようになったのは、いつの日も変わらず支援してくれた観光経済新聞の江口社長以下社員の皆さまのバックアップがあったからだ。これが大きな励みになったと私は心から感謝している。そういう意味でこの会には、何をおいても出席しなければならないと駆け付けて来たわけだが、そうそうたる皆さまがお集まりで大変うれしく思っている。
観光立国推進基本法が制定され、そして観光庁ができることが明確になり、いよいよだ。これからの日本の観光は、ひとり立ちをし、ひとり歩きできるようにならなければならない。政府もずいぶん観光に力を入れるようになってきたが、我々観光関連の人たちは、よそ様に頼るのではなく、自らの足できちんと立つ、そういうことを考える時期ではないかと考えている。
私は自民党の役員であると同時に、全国旅行業協会の会長も務めているので、ピッチャーであったり、キャッチャーであったりするわけだが、我が国の観光が進歩するということは、国際平和のためにも、地域おこしのためにも極めて重要であるし、いつの日も観光というのは努力すれば努力するだけ報われる仕事だと考えている。これからも観光振興のために、精一杯努力するので、皆さまの一層のお力添えを心からお願いしたい」。
多忙の中、駆け付けた二階自民党総務会長
赤字旅館は全体の38%に 国観連調べ
国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1306会員)はこのほど、会員旅館の06年度決算書などを対象にした営業状況等統計調査の結果をまとめた。経常損益で赤字を計上した旅館の全体に占める割合は、前年度から1.5ポイント低下したものの、依然として高く、38.4%に上った。客1人当たりの売上高や定員稼働率がこれまでの減少傾向から若干の上昇に転じるなど回復の兆しもみられるが、借入金の負担などを背景に、旅館の経営環境は総じて厳しい状態が続いている。
今回の調査に対する回答旅館は229軒。内訳は大規模施設(100室以上)が73軒、中規模施設(31室以上99室以下)が124軒、小規模施設(30室以下)が32軒。平均規模は、客室数87、収容396人。年間の総売上高は平均11億730万円、宿泊人数は5万8209人だった。
経常損益が赤字だった旅館の規模別に占める割合は、大規模28.8%、中規模42.7%、小規模43.7%。1軒当たりの平均でみると、経常損益は1937万円の黒字だが、特別損益を加えた税引き前損益は429万円の赤字となる。
重要な経営指標の1つで、資産の減価償却費や借入金の支払利息を計上する前の運営利益を示す償却前営業利益率(GOP)は、0.2ポイント増の平均9.8%。大規模は0.5ポイント増の10.2%、小規模は0.6ポイント増の9.0%とわずかに伸びたが、中規模は0.4ポイント減の9.3%にダウンした。
GOPは、運営責任を明確にできる数値として、国観連でも数値の引き上げを重視している。過去の調査で最も高かった90年度は、大規模15.4%、中規模12.8%、小規模10.2%だった。
総資本に対する長短期借入金の比率を示す借入金依存度は、平均76.5%と7.1ポイント低下したが、引き続き高い水準にある。自己資本比率も平均5.9%にとどまる。ただ、今回調査では中規模旅館の自己資本比率が、前年度まで続いていた債務超過の状態からプラスに転じた。
借入金を償却前利益で完済するのにかかる年数を表す資金回収年数は、平均16.9年で1.8年短縮された。売上高に占める支払利息の割合は、平均3.2%で前年度と変わらなかった。
宿泊客1人当たりの売上高をみると、平均1万8944円で1.5%増加した。規模別では大規模1万9459円(5.4%増)、中規模1万6917円(8.7%減)、小規模2万7634円(22.2%増)。
定員稼働率は、2.9ポイント増の平均41.6%で、41%台に乗ったのは6年ぶり。大規模は2.0ポイント増の43.0%、中規模は4.2ポイント増の40.5%、小規模は0.1ポイント増の30.7%だった。
調査報告書は「単価や稼働率が前年度までの減少傾向から上昇し、経営の合理化や効率化により収益面でも若干の明るさはみられるが、自己資本比率が依然として低く、借入金に頼る状態。支払い利息も収益面に大きな影響を与えている」と分析したほか、「スモールラグジュアリー(小規模高級旅館)を中心とする人気施設と、稼働率が上がらない施設との格差が広がっている」と指摘している。
07年秋季の総宿泊単価は前期並み 日観連営業概況
日本観光旅館連盟(佐久間進会長)は、07年秋季(9〜11月)の営業概況調査の結果をまとめた。回答施設数は約400軒。客1人当たりの総消費額を示す総宿泊単価は前年同期比0.2%減の1万7039円、客1人当たりの基本宿泊料売上高を表す宿泊単価は同0.6%増の1万2041円。定員稼働率は1.9ポイント減の41.7%だった。月別でみると10月の数値が3項目すべてで前年同期を下回った。
総宿泊単価は、月別で9月が0.9%増、10月が1.6%減、11月が0.5%増。規模別では大規模が0.2%増の1万7623円とわずかに上昇したが、中規模は0.3%減の1万5774円、小規模は2.3%減の1万8793円だった。
宿泊単価は、9月が0.8%増、10月が0.4%減、11月が1.7%増。大規模は1.1%増の1万2181円、中規模が0.5%増の1万1463円と微増だが、小規模は2.1%減の1万3952円に下げた。
定員稼働率は、9月が2.1ポイント増の38.5%、10月が4.7ポイント減の42.3%、11月が2.6ポイント減の44.2%。大規模は2.8ポイント減の45.3%、中規模が0.7ポイント減の40.2%、小規模が増減なしの28.0%だった。
1日1室当たりの売上高は、全国平均で2.3%減の2万7568円、規模別では大規模が3.0%減の2万9917円、中規模が1.1%減の2万5035円、小規模が2.6%減の2万3291円だった。
新潟県中越沖地震、能登半島地震の風評被害などの影響は、サンプル数の関係で捉えにくいが、新潟県を含む「関東」は総宿泊単価、宿泊単価いずれもが減少、「北陸」は稼働率が伸び悩んだ。
下呂温泉旅組が75周年記念式典開催
下呂温泉旅館協同組合(岐阜県、滝多賀男理事長)は1月16日、岐阜県下呂市の水明館で新年総会と組合創史75周年記念式典を開催した。地元国会議員、行政、県会議員、組合員など約200人が出席した。
冒頭、滝理事長(写真)は「昨年1月1日に観光立国基本法が施行されて1年。国策として観光産業の地位向上に向けた対策が講じられている。我々組合の前身組織である下呂温泉宿屋営業組合が昭和7年に発足して75年。昭和38年に法人化を行い、組合事業も組合員の力を結集して行う共同化を推進して全国の温泉地でも注目される各種共同事業を展開してきた。温泉の保護の観点から始まった集中管理は、温泉に加温の必要をなくし、省エネを実現した。地域ブランド認定(地域団体商標)も受けた。本年も下呂温泉の飛躍の年となるように来賓の皆様には一層の協力をお願いしたい」とあいさつした。
組合では75年を記念して組合小史「75年の歩み」を発刊した。
次いで永年勤続従業員124人の表彰が行われた。来賓からは、金子一義・衆議院議員、武田祐治・飛騨地域振興局長、駒田誠・岐阜県議会議員、山田良司・下呂市長、西村哲治・JR東海運輸営業担当部長、大野嘉弘・岐阜県中小企業団体中央会専務理事が祝辞を述べた。
有馬温泉旅組が新年互礼会開催
有馬温泉旅館協同組合(兵庫県)は1月11日、銀水荘別館兆楽で新年互礼会を開催した。総会の冒頭、増田晴信理事長(写真)は「社会が便利になりすぎて、人間のアナログ性が失われている。旅館も宿泊客の要望にこたえすぎると、四季、旬の大切さや文化を提供できなくなる。旅館組合では、次世代に温泉街のまちづくりの考え方や方法を伝えるために、青年部にイベントや行事の運営を行ってもらっている」とあいさつした。
来賓からは、砂川静濤・兵庫県神戸県民局長、大森伸一・神戸市生活文化観光局長らが祝辞を述べた。両氏からは、平成21年の兵庫デスティネーションキャンペーンや、今年実施されるプレキャンペーンへの県、市の取り組みについて説明がされた。
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